入院8泊9日で「120万円」も 高額報酬で話題の「海外治験」は本当に安全なのか? 担当者が明かす日本人向け治験ならではの特殊事情

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 海外旅行に出掛ける日本人が減っている。外務省の「旅券統計」によれば、2023年の日本人のパスポート保有率はわずか17%。原因は言うまでもなく「物価高」と「円安」だが、今これを逆手に取った「海外出稼ぎ」が話題になっている。

 (前後編の前編/後編に続く)

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円安だからこそ、日本を飛び出す人たち

 海外出稼ぎメソッドとしては、有名なものに「ワーキングホリデービザ」がある。その名の通り、もともとは「旅行しながら就労」できるという制度で、。国によって異なるが、半年~1,2年の一時滞在者に向けたビザを指す。ただ、最近は事情が少し異なっているようだ。

 オーストラリアで介護アルバイトとして働く女性のケースでは、1か月の給料が80万円を超えた例もあるそう。「滞在費を稼ぐために働く」というより、もはや立派な“本業”だ。

 まさに「円安」と「海外の物価高」を象徴するエピソードだが、同じ理由でいま、にわかに注目を集めているのが「海外治験」の有償ボランティアである。

 インターネットで「海外治験 募集」と検索をかけてみると、

・入院1泊2日と事後検診11回で2,700ユーロ(約44万円)
・入院23泊で15,550ドル(約238万円)
・非喫煙者のみ、入院32泊で19,000ドル(約291万円)

……といった、びっくりするような高額報酬が目に飛び込んでくる。ちなみに日本の治験ボランティアだと、1泊あたり1~2万円の報酬が一般的。

 ただ、こうした“おいしい話”にはたいてい“裏”があるのが世の理だろう。

『闇金ウシジマくん』(小学館)や『賭博黙示録カイジ』(講談社)に出てくるような、借金で首が回らなくなった人たちが高額報酬におびき寄せられ、危険な実験に参加する羽目になり……、なんてことが起きているとも限らない。

 本当に治験に参加するだけで数百万の報酬を手にすることができるのか。心身に危険はないのだろうか。日本人向けの治験を手掛ける海外企業に問い合わせてみた。

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