大谷翔平の新通訳「アイアトン氏」に絶賛の嵐も…注目会見であらわになった“2つの危うさ”

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ドライで簡素な印象を受ける

 短い前置きではあるが、この一文があるとないとでは、大谷の言葉と英語訳との間に微妙なニュアンスの差が生まれてしまっているのだという。

「大谷としては、今回の騒動によって多大な心配をかけているファンやスポンサーに対し、このまま何も話さないわけにはいかない。ただ、今後想定されるリスクを考えれば、すべてをここで話すわけにもいかない。『そうした複雑な状況をどうか理解して欲しい』というのが、この一文で伝えたかった趣旨であるはずです。しかし、アイアトンさんの英語訳は『今日話せることには限りがあります。まずはそこのところよろしく』というような、元の大谷の言葉と比較するとドライで簡素な印象を受ける言葉でした」(同)

 つまり、要点を伝えるだけであれば端折っても問題ない箇所ではあるものの、この会見で大谷が目指している到達点や、ファンに対する感情について、アイアトン氏がしっかりと自分事のように理解できていたなら、この箇所を省略することはなかったのではないか、という指摘だ。

大谷の持つキャラクター性や美徳が伝わってこない?

 その後に続く一文にも、似たような危うさが見え隠れするという。

―――
大谷の言葉:
今日、ここに詳細をまとめた、分かりやすく皆さんにお伝えするためにまとめたメモがありますので、そちらの方に従って何があったのかというのをまず、説明させて頂きたいと思います。

アイアトンの英語訳の内容:
目の前の文書をもとに、何があったのかの詳細をご説明したいと思います。
―――

「大谷としては、『正確を期すために手元のメモを見ながら説明させて頂きます』ということを伝えたかったのだと思うのですが、アイアトンさんはそのメモを見ながらという箇所を“document”という言葉を使って表現しています。実はこのdocumentという言葉は、『用意した書面で回答します』というニュアンスに聞こえてしまうのです」(同)

 ちょうど、日本の政治家が官僚の用意した文書をつらつらと読み上げる、「国会答弁」のようなイメージに近くなってしまうというのだ。たしかにそれでは「誠実であれ」という大谷が大事にしている指針や、「間違いがあってはならない」という、大谷の持つ「真面目」なキャラクター性が伝わってこない。

「一平さんだったら…」というパラドックス

 もちろん、アイアトン氏にとってはこの日が大谷の通訳にとってのデビュー戦。初日から大谷の感情をそっくり理解して通訳してください、というのは酷な要求だろう。

「ただ、水原さんの通訳を見た後だとなおさら、“一平さんならもっとうまくやれたんじゃないか”という感情を抱いてしまいます。水原さんの巻き起こした騒動に対応するための会見ですから、“一平さんだったら”というのは完全なパラドックスなのですが……」(同)

「スロースターター」と評される大谷だが、ここまでの成績を見たファンからすれば「やはり騒動の影響が……?」という感想を禁じ得ないだろう。シーズン開幕戦の夜に襲った「悲劇」をなんとか乗り越え、ドジャースをワールドチャンピオンへと導くことができるか。

前編【「水原一平氏」の通訳は、本当に“意訳しすぎで聞き取りづらい”? 「日本人バイリンガル」が明かす“意外すぎる評価”とは】からのつづき

デイリー新潮編集部

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