「『お礼LINE』は松本さん有利とはならない」 松本人志の性加害報道、裁判のポイントは

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 昨年末の「週刊文春」特集記事に端を発した松本人志(60)を巡る騒動は、いまだ収まる気配がない。性加害を訴える女性らの声を報じる文春に対し、松本側は裁判に専念するとして活動休止を表明。前編では「文春の一人勝ちになる可能性がある」との専門家の指摘を紹介したが、後編では、女性から送られた「お礼LINE」が裁判に与える影響などについて報じる。【前後編の後編】

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 性犯罪やセクハラ問題に詳しく、犯罪被害者支援にも取り組む弁護士の上谷さくら氏によると、

「法廷では、松本さんと被害を主張した女性、双方の主張が真っ向からぶつかることになりそうです。性的行為における合意の有無は当人同士にしかわからないことも多く、仮に証拠が足りないとなれば、裁判所も事実認定が難しい。その場合、文春側が自分たちは精いっぱいの取材をした結果、女性たちから聞いた話が真実であると信じて報じたのだと立証できれば、裁判所は、記事には違法性がないと判断して、文春の主張を認める判決が出されるでしょう。その際、『性的行為について、合意がなかったとまではいえない』『女性は合意していなかったが、松本さんが合意があったと勘違いしたことはやむを得ない』などと、性的行為の事実関係についてどっちつかずの判断をする可能性もあります。そうなれば、松本さんと被害を主張した女性の間ではモヤモヤが残る形で、裁判が終わることになりそうです」

 繰り返しになるが、大前提として裁判で記事内容を裏付ける動かぬ証拠、映像や音声などの決定的な物証が出れば、裁判所は「性加害」を真実だとハッキリ認定するだろう。そうした物証が出てこなければ、松本サイドは女性側の言い分に信用性や信ぴょう性がないと強く主張できるわけだが、その際も具体的に反論する必要があるという。

「お礼LINE」があっても「松本さん有利にはならない」

 その切り札として、松本側が裁判に提出する可能性があるのが、性被害を証言した女性が後日、小沢に送信していた丁寧な「お礼LINE」の画像だ。

 松本は自身のSNSでこの画像をわざわざアップして、〈とうとう出たね。。。〉とコメント。被害を訴えた女性が「実は嫌がっていなかった」証拠だとして、松本擁護のファンたちも文春報道に疑問を呈した。

「件のLINEは女性からのお礼に見えますし、文春が報じた一夜の出来事は性加害ではなかった、自分に有利な証拠になると思って松本さんは呟いたんだと思います」

 とは、元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏。

「性被害者が、加害者にお礼のメッセージを送ることは、精神的ショックをなかったことにしようとする被害者特有の心理の表れとして、刑事事件でもよく見受けられます。同様のメッセージを加害男性に送った、あの伊藤詩織さんの裁判でも被害者特有の行動と判断されましたし、これをもって松本さん有利とはならないと思います」

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