いじめ、給料ゼロ、枕営業…引退する32歳グラビアアイドルが歩んだあまりに残酷な“夢への道”

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「あそこの社長と寝てこい」

 しかし、林さんの人気は思うように出ず、グラビアのDVDを出してもどんどん売り上げは落ちていった。すると事務所からは枕営業をするように言われ始めた。

「事務所の人に『今からあそこの社長と寝てこい』と言われて。事務所にもそういうことが当たり前な雰囲気もありましたし、私自身、芸能界のイメージ通りだなとも思っていました。ただ周りと比べても、私はかなり枕をやらされた方だと思います」

 これまで取材する中で枕営業の話を聞くことはあったが、その見返りがあったというグラビアアイドルはほぼいない。芸能事務所は大切に売りたいタレントと、そうではない枕営業用のタレントとを線引きする。枕営業をするタレントはどんなに権力者に抱かれても、その恩恵は自分ではなく、別のタレントの手に渡ってしまう。

「ホテルに呼び出されて抱かれたのはテレビ局のプロデューサーだったり 、制作会社の上の人とかでした。でも私の仕事には一回もなっていないですね。給料ももらっていないのに、枕営業は続けていて。その頃は感覚がバグっていたんです」

 苦しみだらけの林さんの半生だが、さらに彼女を度重なる不幸が襲う。

後編【「夢を追うのにもリスクがある。沼ってあるんです」社長からの暴行、子宮頸がん…32歳グラドルが年内で引退を決意した理由】へつづく

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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