「お金を返せばいいというものではない」 旧統一教会、解散命令請求で感じた文化庁職員の本気度

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政府与党の「本気」度は?

 被害者救済に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、解散請求が行われた10月13日に記者会見を開き、請求を評価しながらも「(宗教法人の)財産保全の措置が取られる前に解散請求に至った点は、(教団の)資産を流出させる危険性をより一層高めている」とした。

 まず財産保全がなされなければ、解散命令が下されて法人の資産が精算される段階で、被害者救済に当てるだけの資産が残っていない事態になりかねない。全国弁連は現行法で可能な財産保全の範囲が限定的であるとして、特別措置法の成立を求めている。

 しかし、11月14日、統一教会の被害者救済などを検討する自民・公明両党のプロジェクトチームは、財産保全のための新法法案を「信教の自由に抵触する」として見送る提言をまとめた。不動産処分前の通知義務などを盛り込んだ宗教法人法改正や、被害者の訴訟を支援するための総合法律支援法改正も提言したが、全国弁連から「財産の散逸を防ぐには不十分」とする声明を出されている。被害者である統一教会2世からも、批判や落胆の声が聞かれる。

 解散命令請求で文化庁の官僚は「本気」を示した。そして今度は、財産保全について政府与党の「本気」が問われる。

藤倉善郎(ふじくら・よしろう)
ジャーナリスト。1974年生まれ。宗教団体以外も含めた「カルト」の問題を取材。2009年にはカルト問題専門のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、カルト被害、カルト2世問題、カルトと政治の関係、ニセ科学やニセ医療、自己啓発セミナーの問題などの取材を続けている。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島SUGOI文庫)。

デイリー新潮編集部

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