阪神・岡田監督も現役時代に経験した“屈辱” 「戦力外通告」を受けるも、他球団で見事に復活した“スター列伝”

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仰木監督からのラブコール

 長年チームに貢献した看板選手でも、力が衰えれば戦力外通告を受けるのが、実力社会の不文律。だが、中には「まだ完全燃焼していない」と他球団に移籍して現役を続ける者もいる。今季限りで現役引退した松田宣浩(ソフトバンク→巨人)もその一人だが、過去にも数多くのスター選手たちが同じ道を歩んでいる。【久保田龍雄/ライター】

 その代表格と言えるのが、今季阪神を38年ぶり日本一に導いた岡田彰布監督である。

 1993年、入団14年目の岡田は出場42試合の打率.170、1本塁打、7打点と自己最低の成績に終わり、三好一彦球団社長も「岡田君が来年、タイガースでプレーすることは100パーセントありません」と明言した。

 だが、球団の引退勧告に対し、岡田は「このまま終わると悔いが残るから」と現役続行を望み、他球団からのオファーを待った。いち早く獲得に名乗りを上げたのが、オリックスだった。「岡田君をウチで完全燃焼させてやりたい」という仰木彬監督のラブコールに、岡田も「声をかけてくれるのは、ありがたいこと」と感謝した。

女性スキャンダルに見舞われるも

 ところが、移籍がまとまりかけた矢先に、岡田の女性スキャンダルが週刊誌に報じられ、女性の背後に大物総会屋がいたことなどから、オリックスは「現段階では獲れない」(猿渡敏男社長)と獲得を断念。現役続行に暗雲が漂いはじめた。

 だが、その後、オリックスが独自の調査を行い、「岡田は被害者」と身の潔白が証明されると、翌94年1月29日、晴れて入団が決まる。「初心に帰って頑張ります」と誓った岡田は同年、53試合に出場し、打率.277、2本塁打、12打点と前年より成績アップ。現役最終年の95年には、阪神時代以来10年ぶりの優勝の美酒も味わい、文字どおり完全燃焼で16年間の現役生活を終えた。

 阪神では、今岡誠、鳥谷敬も球団の引退勧告を拒否し、いずれもロッテで現役続行。生え抜きではないが、長年主力で活躍した福留孝介も、自由契約を経て古巣・中日で現役最後の2年間を過ごしている。また、西武はFAなどで出て行った主力を現役晩年に呼び戻す傾向が強く、工藤公康、松坂大輔、松井稼頭央らが古巣復帰をはたしている。

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