「岐阜市」衰退のワケは「路面電車」廃止のせい? 同じ名古屋圏でも大活躍のエリアが

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路面電車の全廃も一因に?

 岐阜県庁が現在地へと移転した理由は、ひとつに絞ることはできない。岐阜県と岐阜市の地方分権を企図していたという見解もあれば、当時の岐阜県知事と岐阜市長の不仲があった説、東海道新幹線の岐阜羽島駅が立地する羽島市に近くに寄せたという見方もある。

 いずれにしても、県庁舎が移転したことを契機にして繁華街が衰退し、市街地の空洞化を加速させることは揺るぎない事実だろう。

 そのほかにも岐阜市と名古屋市の距離が近いという事情もある。岐阜市の玄関駅でもあるJR岐阜駅や名鉄岐阜駅から名古屋駅までの所要時間は、電車で約20~30分。こんな近距離に名古屋駅があるなら、休日の買い物は名古屋まで足を運ぼうという気になる。そうした名古屋と岐阜の距離の近さが、岐阜市繁華街の衰退を招いた一因ともいえる。

 そんな岐阜市が衰退した要因として、もうひとつの理由とされるのが2005年の名古屋鉄道(名鉄)の岐阜市内線および田神線・美濃町線、つまり路面電車の全廃だ。私が柳ヶ瀬を取材していた時、まだ路面電車は運行されていたが、すでに廃止されることが決まっていた。そのため、商店主からは路面電車の廃止によって市街地の衰退が加速することを不安視する声も聞くことができた。

 冒頭に触れた岐阜高島屋も路面電車沿線にあり、路面電車の廃止が来店者数減につながったとも言われる。繁華街の中核的な存在だった百貨店が勢いを失えば、総じて商店街全体が元気をなくすのは誰の目にも明らかだろう。

 県庁の移転もさることながら、岐阜市は明らかに路面電車を重視していなかった。それも、岐阜市の取材で痛感した。

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