まさかこれほど多いとは…エホバの証人で多数の二世信者が性被害に、「抑圧が逆に性加害を誘発している」との指摘も

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仏教との違い

「注意すべきは、『性加害だけが横行し、他のハラスメントは皆無』という組織は存在しないということです。パワハラなどのハラスメントが横行し、その中に性加害も含まれるのが一般的です。エホバの証人では、もともと宗教を悪用したハラスメントが横行していたわけですから、今回の調査結果も、性加害だけを注目するのではなく、エホバの全体的な人権侵害の一部として捉えるべきでしょう」(同・藤倉氏)

 欧米ではカトリック教会の性的虐待事件が大問題になっている。日本でも「信者に対する性加害」はキリスト教系の宗教団体に顕著だという。

「宗教関係者による性加害問題で件数だけをピックアップすると、仏教関係者が多数を占めます。ただし、事案の多くは『マッチングサイトで出会った未成年者と行為に及んだ』といった宗教団体の“外”で起きたケースです。一方、宗教団体の“内部”で性加害が明らかになった場合、件数は少ないのですが、その多くはキリスト教系の宗教団体、それも信者数が少ない団体で発生している傾向が認められます」(同・藤倉氏)

 例えば、2005年に発覚した聖神中央教会事件では、在日韓国人の牧師が信者の少女7人に22件の性的暴行を繰り返していた。

背景に性の抑圧

「仏教の世界でも、僧侶間のパワハラは深刻な問題になっています。とはいえ、住職が檀家の女性にパワハラや性加害に及ぶケースが表沙汰になる場面は多くありません。これには様々な理由がありますが、その1つに、寺によりますが、檀家の発言力が強いなどの事情で住職が何でも好き勝手できるとも限らないという点もありそうです。あまりに問題の多い住職なら、寺の檀家総代からクレームが出ることもなくはない。一方、小規模のキリスト教組織では、『教える人』である牧師の権力が強く、『教わる人』である信者は従属的な存在になりがちです」(同・藤倉氏)

 キリスト教系の宗教団体では、絶対的な上下関係がハラスメントや性加害の温床になりやすい。これが欧米のカトリック教会で性的虐待事件が多発している理由でもある。

 なかでもエホバの証人は、独自に聖書を解釈し、婚前交渉の禁止など性に厳しい態度を取っている。公式サイトを見ると、《子どもを性犯罪者から守る》ことを重視していると宣伝しているほどだ。

「エホバの証人は教義で禁欲的な態度を求めているため、その抑圧が逆に性加害を誘発しているという側面もあるとは思います。ただ、『教える人』と『教わる人』という上下関係が最も大きな背景でしょう。そのためエホバの証人では、宗教的に指導する側の者でなくとも、単に先輩というだけで後輩に性加害に及ぶケースが今回の調査から浮き彫りになりました」(同・藤倉氏)

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