0勝の中日・根尾昂投手がなぜ井端ジャパンのバックアップメンバーに選ばれたのか

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独立リーグ選抜にボロ負け

 2年連続でリーグ最下位に終わった中日の立浪和義監督(54)は、来季のチーム編成に苦慮している。そんな折、「来年こそは!」と願う中日ファンをガッカリさせるニュースが飛び込んできた。

 10月11日、秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」に参加していた中日が、主に若手の二軍メンバーとはいえ、独立リーグ選抜に“ボロ負け”したのだ。スコアは2対6だが、試合の主導権は完全に相手に握られていた。

「独立リーグの選手は、年を追うごとに力をつけているので侮れません。でも、NPBチームなんだから……」

 現地で取材をしていたメディア関係者やスタンドのファンからは、そんな嘆きの声が聞かれた。

「そうは言っても、中日の先発投手陣にはいいメンバーが揃っています。柳裕也(29)、小笠原慎之介(26)、高橋宏斗(21)、涌井秀章(37)がいて、左肘の手術で今シーズンを棒に振った大野雄大(35)も来季は帰ってきます。これに加えて打線が強化されれば、さすがに“3年連続のリーグ最下位”はないでしょう。若手三塁手の石川昂弥(22)らが成長すれば、なおさらです」(名古屋在住記者)

 だが、そんな期待の若手の一人、(土田)龍空(20)が“失態”を晒してしまった。

 1点ビハインドで迎えた2回表だった。2アウトながら得点圏に走者を置いた場面で龍空に打順が回ったが、空振り三振。3回裏の守備には就いたが、途中交代させられた。試合後、来季は一軍のヘッドコーチを務める片岡篤史二軍監督(54)がキレた。三振を喫した後の態度を指して、

「攻守交代があれ(だらしなかった)だから交代させた。謙虚さ、ひたむきさがない」

 さらに、

「守備はうまいよ。でも、態度。プロ野球だけど、あいさつ、返事、先輩への言葉遣いとか、最低限のことはある。彼は人間的に変わらないといけない」

 と、メディアの前で声を荒げていたという。

「来年はとにかく勝たないと」

「独立リーグ選抜の選手たちは、とにかくNPBに行きたいという一心で、攻守ともに貪欲でした。グラウンドを出る際も、帽子を取ってきちんと一礼していました」(現地メディア関係者)

 片岡二軍監督の言動には、批判的な声も上がった。監督の言っていることが本当なら叱られて当然。しかし、今は激しく叱ると問題にされるご時勢であり、龍空が自分から変われるように仕向けていくのが指導者の職務だ、と。

 試合では他にも、バントを空振りして一塁走者が帰塁できずアウトに。また、レフト前ヒットが出たのに、二塁走者が勝手に三塁でストップするミスも続いた。若手中心のメンバーで負けたことで、選手育成の面でも“心配されて”しまったわけだ。

「来季で3年契約が満了する立浪監督ですが、4年目以降も監督を続けるつもりなら、失敗しても試合に出し続けることで若手を育て、自身の理想のチームを作り上げるのがベストだと思います。でも、再来年はどうなるか、誰にも分かりません。しかも、2年連続最下位。そうなると来季は、未知数の若手に頼るのではなく、レギュラークラスの選手をかき集めて、とにかく勝ちに行くしかないんです」(前出・名古屋在住記者)

 FA権の行使で悩んでいる巨人の中田翔(34)や埼玉西武の山川穂高(31)の獲得を検討していると言われているのは、こうしたチーム状況によるものだろう。

「しかも、今季の中日は、一軍のレベルに育っていない若手まで試合に出場させていた感があります。二軍では福田永将(35)が引退表明した後も4番DHで試合に出続け、キャッチャーの加藤匠馬(31)がサードのスタメンで起用される試合もありました。要するに野手不足なんです。ドラフト会議の戦略から見直さないとダメでしょう」(同前)

 チームの再建には中長期の育成プランが必要だが、同じような観点から「投手なら先発なのかリリーフなのか、野手ならどこを守るのか、その点を明確にした上で選手の起用法を見直すべき」という声も聞かれる。これはチームスタッフだけでなく、NPB関係者からも聞かれた。

 この起用法の見直しに、来季の中日の命運を握るかもしれない選手がいる。

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