「名前が思い出せない…」認知症の“一歩手前”にならないために、まだ間に合う予防の5カ条

ドクター新潮 ライフ

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「認知症に罹患すると運命が変わる」

 長年付き合っている親しい友人の名前が思い出せない。就寝前に外した眼鏡の置き場所を、朝になると忘れてしまう。「あれ、何番だっけ?」と、ATMの暗証番号が記憶から消える――。こうした物忘れが増えている人は、認知症の一歩手前となる“グレーゾーン”の「MCI」(Mild Cognitive Impairment、軽度認知障害)と診断されるケースがある。

 政府は今年6月、認知症に関する初めての法律「認知症基本法」を成立させた。認知症患者と向き合う国民の理解と、共生社会の実現を目的にした内容だ。厚労省「平成29年版高齢社会白書」に掲載されたグラフによると、2025年には65歳以上の認知症患者数が約700万人に増加すると推定されている。

「排泄するトイレの場所を忘れ、廊下やパンツの中で終わらせた認知症患者さんを風呂で洗い、新しい下着に着替えさせます。でも20分もするとまた同じ繰り返し。晴れた日は、マンツーマンで外を散歩させたいけど、スタッフ不足で安全な部屋に閉じ込めてしまう介護施設も少なくありません」

 介護施設の現況をこう語るのは、銀行を退職後、残りの人生を介護職に切り替えた介護福祉士の香川昇さんだ。

「認知症に罹患すると人生半ばにして運命が変わります。全家族に迷惑をかけるし、中高年層を襲う認知症は、予防や治療の特効薬もまだありません。でも、ご本人の努力しだいで、認知症から遠ざかることは可能です」

 認知症が運命を変える? 決して誇張された表現ではない。それまで刻んできた自分の歴史が記憶から消え、赤子状態に戻るからだ。

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