巨人・原監督「退きたいのに退けない」ウラ事情 勇退後の“野望”はコミッショナーではなく…

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加藤、松井裕ら豊作のFA市場でも苦戦予想

 プロ野球巨人の原辰徳監督(65)の3年契約の最終年となる来季続投が微妙な情勢になっている。DeNAと僅差で争うAクラスの確保は予断を許さない。2年連続Bクラスに沈めば、同一監督ではセ、パ2 リーグ制後、球団史上初の汚点となる。進退問題が浮上しそうだが、球団関係者によると、原監督には「退くに退けない」事情があるという。

 8月27日までの阪神との3連戦は1勝2敗で負け越し、首位チームとの力の差は明らかだった。同26日には6-9で敗れ、球団史上初の阪神戦での東京ドーム6連敗と屈辱にまみれた。今季は開幕ダッシュに失敗し、一度も優勝争いに絡んでこなかった。

「序盤、首位を走った昨季に対し、今季は期待感を全く持てなかった。低かった下馬評通りの結果になっている。同じBクラスでも今季の方が印象は悪い」(元NPB球団監督)

 坂本勇人、菅野智之と長く投打でチームの両輪だった主力2選手は近年、力の衰えが隠せない。昨季新人の最多セーブ記録に並んだ大勢はコンディション不良で14セーブにとどまり、6月末から戦列を離れている。秋広優人、山崎伊織ら若手は台頭したものの、まだ1年だけの実績。「3年やって一人前」という世界で来季、計算できる戦力になったとは言い難い。

 昨オフは2年連続でフリーエージェント(FA)選手の獲得がなかった。西武から国内FAとなった森友哉(オリックス)らをリストアップしながらも「巨人ブランド」の威光が陰った影響で、FA戦線でも他球団に後れを取っている。今オフも大型補強のメドは立っていない。

「加藤(貴之=日本ハム)や松井(裕樹=楽天)らFA選手が豊作だが、巨人は今オフも苦戦しそうだ。仮に条件面で上回っても、今の選手は働きやすい環境を重視する傾向にある。かつては原監督の現役時代にファンだった選手がFAで入団するケースが多かったが、今や原監督の全盛期を知らない世代。グラウンドでの指揮権に加え、GM並みの編成権まで持ち、生殺与奪を握る原監督の存在はマイナスになる傾向が出ている」(セ・リーグ球団編成担当)

コミッショナー候補としては栗山氏と双璧

 育成も補強も来季へ、確かな展望は開けてこない。原監督は契約最終年を迎えたとしても、いばらの道になりそうだ。

「昨季は優勝なら勇退するのではないかとみられていた。原さんはもう十分に働き、結果も残した。後はどう退くか。優勝して惜しまれつつ辞任するのが理想のようだが、今季も来季も叶いそうもない。あれだけ実績がある監督がこの3年のチームの不振で、晩節を汚す形になりつつある」(遊軍記者)

 原監督は9度のリーグ優勝を果たし、日本一には3度輝いた。巨人監督として通算勝利数は既にV9の川上哲治監督の1066勝を超え、歴代1位に君臨する。現役時代にはONの後継の4番に期待されながらも物足りない成績だった。しかし、指導者に転身してからは2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表を優勝に導くなど、大監督と言っても過言ではない実績を残している。

「一時はユニホーム組で初のコミッショナー就任を目指していると噂されていた。コミッショナーは星野(仙一)さんの頭にもあったポストだった。星野さん亡き今、原さんは栗山(英樹)さんと並んで現場出身者ではコミッショナーに最も近い位置にいるのかもしれない」(別の元監督)

 ただ、いかにコミッショナー人事に強い影響力を持つ読売本社の後ろ盾があったとしても、ユニホーム組にはハードルが高いポストであることに違いない。誰より原監督自身がコミッショナーではなく、別の道へ進むことを思い描いているという。

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