官僚を震え上がらせる河野太郎大臣の“締め切り病” 口癖は「早くやれ」でトラブル続出

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「河野さんは官僚を信用していない」

 総理に近い官邸関係者が言う。

「総理は“批判が多くて大変だ”“どうにかして国民の不安を打ち消さないといけない”と周囲に語り、焦燥感をあらわにしています」

 そもそも、この大混乱を生んだ元凶は何だったのか。

「河野さんが保険証廃止の時期を早めてしまったことでしょう」

 と、苦衷を表情ににじませるのは、デジタル庁関係者。

「昨年夏にデジタル大臣に就任してから、河野さんは“マイナカードと保険証を一体化させれば普及が進む”“とにかく早く”と庁内で主張してきました。そして、その年の10月に河野さんが“24年秋の保険証廃止”をぶち上げたんです。その前に発表されている政府の『骨太の方針』では保険証廃止の時期を明示していなかったので、事実上、前倒しした格好です」

 そうした“前のめり”な決断の背景に河野氏独特の仕事術があるという。

「河野さんは政治家の中でも特に官僚のことを信用していない。そこで省庁で仕事をする際は必ず“締め切り”を設けます。しかも、とにかく早く仕事を仕上げることを求めてくるのです。マイナ保険証以外でも、例えば公的な施設の目視点検などデジタル社会にそぐわない規制である『アナログ規制』の一括見直しについて河野さんは1年前倒しして24年6月までに進める、と明言しました」(同)

口癖は“早くやれ”

 ただし、河野氏の場合、無理筋な“締め切り”もある。まさにマイナ保険証がそれだった。デジタル庁元幹部によれば、

「河野さんが保険証廃止を24年秋としたとき、庁内で“いくらなんでも早すぎるのでは”という懸念の声が上がったのは事実です。結果、誤ひもづけやコンビニで別人の住民票が交付されるなどの事例が相次ぎ、国民に不信感を抱かせてしまった。河野さんの口癖は“早くやれ”。その通りにやったらトラブルだらけになってしまったのです」

 デジタル庁の組織的な問題について指摘するのは、東京大学教授で政治学者の牧原出(いづる)氏である。

「菅義偉政権以降、デジタル庁をはじめ、『庁』が次々とできています。しかし、経済財政諮問会議など多角的に有識者が議論できる政府の会議に比べると、『庁』は大臣の力が強く、官僚が抗し難い。そのため、政策面で官邸と大臣の思い付きに引きずられる傾向があります。そして、一度方向性を間違えると今回のような大混乱を招いてしまうのです」

 とした上で、保険証廃止を急ぐ必要はなかった、と続ける。

「デジタルの専門家だけでなく、医療関係者も交えて公開の場で議論すべきで、保険証廃止はもっと先でもよかったと思います。なぜ来年秋をリミットにしたのか。問題点を洗い出し、検証すべきでしょう」

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