女子サッカーW杯の放映がNHKになった裏事情 高すぎる放映権料に民放は白旗

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 世界水泳で金を含む複数のメダルを獲得した佐藤陽太郎(18)。その競技はアーティスティックスイミング。初めて男子の参加が認められるパリ五輪も楽しみだ。

 周知の通り、スポーツ界にも男女平等の波が押し寄せている。もっとも、佐藤のように女性専科の競技に男性が進出することはまれで、男性だけだった競技に女性部門が新設されるケースがほとんどである。

 サッカーもその一つ。男子のW杯は1930年に始まったが、女子の第1回大会は61年後の91年、12カ国参加のもと催された。その後、参加国は増加の一途で、第9回を数える今大会は史上最多の32カ国が覇を競う。

「賞金総額も前回大会の約3倍に相当する1億1千万ドル(約152億円)に増額。加えて、今大会から参加全選手に賞金の一部を分配するとも発表しました。むろん“ジェンダー平等”に配慮した措置です」

 とサッカーライターが解説する。

 しかし、主催者のFIFAが各国の放送局にまで“配慮”を求めたため混乱が生じた。

「参加国が増え、賞金もアップした、つまり大会の価値が上がったのだから、と高額の放映権料をふっかけてきたのです」

欧州ですら放映権は売れず…

 これまで女子大会の放映権は、男子大会とセットで販売されてきたという。セットといえば聞こえが良いが、実態は“男子のオマケ”。それが今大会からバラ売りになった。つまりオマケだったものを単体で、しかも高額で売り出したわけである。額は明らかにされていないが、男子大会の放映権料の3分の1に相当する1億ドルの値札がつけられたとの報道も。ゆえに、女子競技も人気がある欧州各国ですら放映権はなかなか売れなかった。

 わが国にしても、震災直後の2011年こそW杯初優勝を遂げて列島を沸かせたが、“なでしこ旋風”が吹いたのはこのときだけ。WEリーグの会場は閑古鳥が鳴く。しかも、

「今のなでしこの世界ランクは11位。優勝どころか決勝トーナメント進出すら怪しい。誰もが知っている有名選手や、キャラが立った選手もいませんし……」

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