日曜劇場「VIVANT」はドラマ業界の新定番 他局にはなかなか真似できない戦略とは

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 7月期の連続ドラマが続々とスタートしている。最も注目されているのは、16日に始まる日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」(TBS)だろう。主演は堺雅人(49)だが、放送開始までストーリーや役柄といった詳細は一切明かされていない。予告編を見ても《遂に、冒険が始まる》程度しかわからない。数少ない情報をもとに、業界のプロがTBSの戦略を読み解く。

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「VIVANT」の複数の予告編を見ると、類を見ない大掛かりなドラマであることはわかる。

●モンゴルで2カ月半に及ぶ長期ロケを敢行し、現地のスタッフとエキストラは数百名。
●日本の舞台は、少なくとも島根(出雲大社)と東京(神田明神)。
●7月8日時点で発表されたキャストは42名。

 民放プロデューサーは言う。

「なんといってもキャスティングの豪華さに目が行きます。主演の堺を筆頭に、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、小日向文世、檀れい、そして役所広司ですからね。誰を主演にしてもおかしくない陣容です」

 しかも、これまで日曜劇場で主役を張ったことがある俳優も多い。

「『半沢直樹』の堺、『下町ロケット』と『ドラゴン桜(第2シリーズ)』の阿部、『陸王』の役所は、高視聴率を叩き出した実績のある大物俳優です。これらの作品の演出は、いずれもTBSの福澤克雄氏。今回の『VIVANT』も彼の演出で、原作も手がけている。福澤氏の下、人気も実力も備わった俳優たちがひとつのドラマで演じるのですから、期待感は否応なく高まります」

 まるでNHKの大河ドラマのような出演者だが、こんなに力のこもった「VIVANT」は、1クール全10話(「VIVANT ナビ」で堺が発言)である。それにしても、なぜこんなに豪華なキャスティングにしたのだろうか。

「ラストマン」も豪華だった

「4月期のドラマを振り返るとよくわかります。放送前に話題になったのは、月9『風間公親―教場0―』(フジテレビ)と日曜劇場『ラストマン―全盲の捜査官―』(TBS)の2本でした。木村拓哉が主演の『風間公親』は、20年と21年の正月にスペシャルドラマを2夜連続で放送し、高視聴率を記録。満を持して連ドラ化されました。初回視聴率は12・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)を記録しましたが、その後は2桁を切る回が多く、最終的には平均9・8%でした」

 一方、福山雅治が主演の「ラストマン」は、

「事実上、主演は福山と大泉洋の2人でした。過去の日曜劇場で、福山は『集団左遷!!』、大泉は『ノーサイド・ゲーム』で主演を務めています。その2人がタッグを組み、さらに寺尾聰、上川隆也、吉田羊、永瀬廉(King & Prince)、今田美桜……、通常、他局では主役を演じている俳優陣が脇役として盛り上げました。おかげで初回視聴率は14・7%を記録し、そのまま2桁の高視聴率をキープしたまま幕を閉じたのです」

「風間公親」も新垣結衣や赤楚衛二、北村匠海、染谷将太、白石麻衣といった人気者が脇を固めていたが、

「人気の若手俳優が揃ってはいましたが、『ラストマン』に比べるとかなり見劣りします。それに彼らはキムタクの教え子で、毎週出演していたわけではありません。あくまでもキムタクの引き立て役でした」

 なぜ日曜劇場は、豪華キャストにこだわるのだろう。

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