甲子園未出場も、スカウト陣が高評価…急浮上が期待される高校生ドラフト候補の気になる“4人の名前”

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プロでもホームランバッターになれる素材

 7月に入り、夏の甲子園出場を目指す高校野球の地方大会が本格化する時期となった。今年の高校生ドラフト候補は、投手では前田悠伍(大阪桐蔭)、東松快征(享栄)、坂井陽翔(滝川二)、平野大地(専大松戸)、野手では佐々木麟太郎(花巻東・一塁手)、真鍋慧(広陵・一塁手)、さらには“二刀流”の武田陸玖(山形中央)らが高い注目を集めている。一方で、今後の活躍次第で一気に評価を上げる選手が出てくることも十分に考えられる。【西尾典文/野球ライター】

 昨年1位指名を受けた斉藤優汰(苫小牧中央→広島)やイヒネ・イツア(誉→ソフトバンク)も、そのような例である。そんな急浮上が期待できそうな選手について、これまで甲子園出場経験がなく、4月に行われたU18侍ジャパン候補合宿にも選ばれていない選手から4人をピックアップした。

 近年、プロから需要の高いスラッガータイプで佐々木、真鍋に次ぐ存在と見られているのが、明瀬諒介(鹿児島城西・一塁手)だ。鹿児島城西は、ダイエー(現・ソフトバンク)、西武などで活躍した佐々木誠監督が指導するチームで、明瀬は早くから中軸を任されている。1年秋、3年春に出場した九州大会ではいずれもチームは初戦で敗れたものの、明瀬自身はホームランを放っている。

 高校生離れした堂々とした体格で、1人だけ軽いバットを使っているように見えるほどのスイングスピードを誇り、インパクトの強さと打球の速さも圧倒的なものがある。担当スカウトは、明瀬の魅力について以下のように話す。

「パワーはもちろんですが、打球に角度をつけるコツを知っているのがいいですよね。ライナー性ではなく高い弾道のホームランが多いですし、引っ張るだけでなく、センターや右中間に大きい当たりが打てる。相手からのマークが厳しい中でも、当てにいくようなスイングをせずに常に強く振り切る姿勢もまた評価ができます。プロでもホームランバッターになれる素材だと思いますね」(九州地区担当スカウト)

 筆者は、現地で明瀬のホームランを2本見ているが、いずれも打った瞬間に分かる特大のホームランだった。また、佐々木と真鍋が左打者なのに対して、プロでも少ない「右のスラッガータイプ」だという点も評価が高くなりやすい要素と言えるだろう。

高校生のショートではトップクラス

 野手では、ショートがプロ側からの人気が高くなりやすい。今夏、注目を集めることになりそうなのが、横山聖哉(上田西)だ。旧チームからショートを任せられており、昨年春の北信越大会でホームランを放っている。当時はそこまでプロに注目されていたわけではなく、評価が上がってきたのは、今春からだという。

「一冬超えて見違えるほど体が大きくなりました。元々センスはあったと思いますが、体ができてきたことで打撃も守備も一気に力強くなりましたね。ピッチャーをやっても、140キロ台後半が出ますし、肩が強い。春からどんどん良くなっていると思います。高校生のショートではトップクラスです」(北信越地区担当スカウト)

 上田西出身のショートといえば、高寺望夢(阪神)が売り出し中の若手としてプロでも楽しみな存在となっているが、県内の指導者によると、「高寺よりも総合力は遥かに高いのではないか」と言われているという。6月に行われた北信越大会で、チームは初戦で敗れたが、20人を超えるスカウトが視察に訪れるなど、注目度の高さがうかがえた。今年は、他に有力なショートが少ないだけに、この夏の活躍次第で一気に上位候補となる可能性がありそうだ。

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