気の毒すぎる大谷翔平 “なおエ”のエンゼルスがポストシーズンに出場できる確率はどのくらいか

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「なおエンゼルスは試合に敗れた」──これを省略して「なおエ」。インターネットスラングの一つだが、人口に膾炙して久しい。何しろロサンゼルス・エンゼルスは、ア・リーグ西地区で2018年から4年連続で4位。22年は3位に浮上しており、今季も6月7日現在、32勝30敗の3位だ。

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 西地区で首位を走るテキサス・レンジャーズに、エンゼルスは8・5ゲーム差を付けられている。

 チーム打率は2割5分7厘でメジャーリーグ(MLB)全30チーム中10位、チーム防御率は4・31点で18位という成績だ。

 5月28日のマイアミ・マーリンズ戦は、日本人ファンから悲鳴が上がった。大谷翔平(28)が先発し、6回2失点で勝利投手の権利を得た。ところが試合は二転三転。最後は延長10回表にエラーを連発して4失点、結局5-8で破れてしまった。「なおエ」の典型例と言えるかもしれない。

 なぜエンゼルスはこんなに弱いのか。過去の順位を見ると、2000年代は“常勝”と言っていい成績だった。担当記者が言う。

「2002年、エンゼルスはワールドシリーズでサンフランシスコ・ジャイアンツを4勝3敗で下し、球団創設42年目で初の優勝を果たしました。04年から09年にかけての6シーズンは、ア・リーグ西地区1位が5回、2位が1回という強豪チーム。それが2010年代になると3位と2位を行ったり来たりするようになり、20年代は4位が定位置になりました」

失敗続きの補強

 MLB評論家の友成那智氏は「エンゼルスの成績が低迷しているのは、選手の育成力が下落してしまったからです」と指摘する。

「かつては新人やトレードで移籍した若手を丁寧に育て、チームの好成績につなげていました。そして2003年に実業家のアルトゥーロ・モレノ氏(76)がオーナーに就任すると、大物選手に大金を投じて招聘することが一気に増えました。確かに2000年代は大物選手が活躍することもありましたが、2010年代になると“買い物”の失敗が目立つようになります」

 友成氏の指摘する“エンゼルスにおける歴史的な補強失敗例”は3人。いずれも野手だ。

 2011年12月に10年総額2億5400万ドル(約356億円)で契約を結んだアルバート・プーホールズ(43)。

 12年12月に5年総額1億2500万ドル(約175億円)で契約したジョシュ・ハミルトン(43)。

 そして19年12月に7年総額2億4500万ドル(約343億円)で契約し、今はケガで療養しているアンソニー・レンドン(32)だ。

「レンドンは今季30試合に出場し、打率3割台ですが、右足の張りを訴えて故障者リストに入るなど不安定です。20年から昨シーズンまでの打率は2割台、ホームランも1桁と低迷しました。また、プーホールズは年齢のためかケガに泣かされることが多く、契約最終年の21年シーズンを最後に退団。ハミルトンに至ってはコカインの摂取が判明。5年契約だったにもかかわらず3年でチームを去りました。3人とも高額の契約金に見合った活躍とは言えません」(同・友成氏)

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