「今でも球場でゴミを見つけると拾っている」 WBC白井ヘッドコーチが明かす大谷翔平の素顔

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 今最も輝く日本人と言われれば誰もが彼の名を挙げるだろう。WBCで投打に大活躍し、日本を優勝に導いた大谷翔平(28)。メジャー開幕後も大車輪の働きぶりだが、快挙の舞台裏と指揮官の苦悩を、間近で見つめたヘッドコーチが明かした。

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 開幕から1カ月を経ても大谷の勢いは止まらない。

 33試合終了の時点で、投手としては4勝無敗。打者としても既に7本塁打を放っている。

 メジャーきっての強打者マイク・トラウトを三振に切って取った、WBCでの勢いそのままなのだ。

「日本チームは、まさに大谷JAPANでしたよ」

 と振り返るのは、同大会でヘッドコーチを務めた、白井一幸氏(61)である。

空気を一変させた大谷の一言

 白井氏は現役時代、日本ハムなどで活躍。2013年秋、古巣のコーチに復帰した際、ルーキーだったのが大谷である。その後、渡米するまで4年間、成長を見続けてきた。

 WBCでは決勝のアメリカ戦の試合直前、ロッカールームで円陣を組んだ際、「(アメリカ代表に)憧れるのをやめましょう」と大谷が檄を飛ばした姿が大きな話題になったが、

「あれは大きかった」

 と白井氏が言う。

「彼が声出しの役割を担ったのは、自然発生的なものでした。最後の試合ですから“ここはダルビッシュ(有)じゃない?”“いや、やっぱり大谷だよね”みたいな感じで。準決勝のメキシコ戦って大逆転でサヨナラ勝ちしたじゃないですか。翻ってみれば、過去2回の戦いで侍ジャパンはベスト4で負けているでしょう。準決勝が鬼門だったんです」

 それを劇的な形で突破したこともあり、チームには多少“ゆるみ”めいたものが見受けられたという。

「アメリカに絶対勝つというより、彼らと試合ができるところまで来られたという安堵感があったのも事実です。そこへあの言葉。“勝つために、世界一になるためにアメリカに来た”とビシッと言ってくれた。空気が変わりましたね。チーム全体の様子を感じ取り、的確なタイミングで、的確なメッセージを出してくれました。あれがなければ優勝できたかどうかはわかりません」

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