プラモデルのタミヤが「ウクライナ軍仕様のレオパルト2」を発売 専門家も「絶対、買って組み立てる」というワケ
世界有数の模型メーカーであるタミヤ(静岡県静岡市)は、プラモデル全般の公式Twitterアカウント「タミヤスケールモデル」を運用している。3月末に「1/35 レオパルト2A6戦車“ウクライナ軍”」の発売を告知するツイートが投稿されると、たちまち大きな反響を呼んだ。
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【写真9枚】「さすがタミヤ製」ウクライナ軍仕様レオパルト2の“プラモ” 実物と見比べても素晴らしいクオリティだ
もともとタミヤは「1/35 ドイツ連邦軍主力戦車 レオパルト2 A6」を2004年に商品化し、今も販売している。
もちろん戦車自体は、同じレオパルト2A6。だからこそ今回の“ウクライナ軍モデル”における最大の眼目は、
《車輌に識別マークとして描き込まれると思われる、ウクライナの勝利のシンボルである白十字や、国旗のスライドマーク》
が同封されていることだ。軍事ジャーナリストが言う。
「商魂たくましいと言う人もいるでしょうが、タミヤは世界史の大転換点という認識から、『ウクライナ軍に供与されたレオパルト』の商品化を決定したと思います。かつてワルシャワ条約機構に加盟していたウクライナに、NATO(北大西洋条約機構)加盟国のドイツが主力戦車を供与するわけです。この重要性は、どれだけ強調しても強調しすぎということはありません」
防衛大学名誉教授の佐瀬昌盛氏は、東京大学大学院で国際関係論を学び、ドイツの国立ベルリン自由大学に留学するなど、東西冷戦研究の第一人者として知られる。
佐瀨氏はかつてデイリー新潮の取材に、ドイツの戦車供与を《世界史レベルの、ドイツ外交政策における大転換》とした上で、以下のように解説した(註)。
《ナチスの悪行を十字架として背負い、“力の政治”を封じることが、戦後ドイツ政治の根本方針でした。ドイツには、第二次世界大戦での対ソ戦という負い目もあります。長く融和的な外交姿勢を続けてきましたが、戦車の供与を決めました。理由はアメリカ、イギリス、フランスを初めとするNATO加盟国がドイツに圧力を掛けたからです》
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