立浪監督も驚いた? 中日・高橋宏斗が「山本由伸流」フォーム改造騒動後に見せた“凄み”

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「スーパークイック投法」

 わずか1日。決して、元に戻したのではない。これまでのフォームに、新たに掴んだ“5冠王のエキス”を注入することで、2023年版の中日・高橋宏斗に「進化」したのだ。

「どっちで投げる、というより、感覚は似ているので、意識するところを少し変えています。確実に球はよくなっている。全く心配ないです」

 そう自己分析した高橋にまつわる“事件”が起こったのは、2月3日のブルペンでのことだった。立浪和義監督のみならず、周囲にも「あれ?」と感じさせた変化があったのだ。

 オリックス・山本由伸との自主トレで、高橋は“新感覚のフォーム”に取り組んでいた。投球モーションの際に左足をほとんど上げず、すり足のまま踏み出していくという「スーパークイック投法」だった。

 軸となる右足にためた力が後方に、つまり二塁方向に逃げてしまわないよう、軸足を曲げたり、膝をひねったりしない。そのシンプルな動きを意識することで、より威力のあるボールを投げようというアレンジで、山本もこの新フォームを、オリックスの宮崎キャンプで披露している。

 その意図はいい。ただ、一つだけ違うのは、山本と高橋の体格差だ。

アドバンテージが消えてしまう

 高橋は186センチ。その長い手足を生かして、角度をつけて投げ下ろすボールこそが最大の特徴である。上から下へ。そのダイナミックな動きが、高卒2年目の昨季に158キロをマークした、その剛球を生み出す源泉でもある。

 一方、師匠格の山本は178センチ。野球界では決して恵まれたサイズではない。これをカバーしてあまりある巧みな動きが、リリースの瞬間だろう。

 山本は肘をあまりしならせず、腕を一体化させて投げる「アーム型」に近い。ゆえに、横への動きを加速させ、ボールにさらなる勢いを出そうとしているのだ。最多勝、防御率、勝率、奪三振、沢村賞の「投手5冠」を史上初の2年連続で独占した右腕は、さらなる高みを目指して、そのアレンジを加えたのだ。

 つまり、山本は自らのスタイルを強化するための「スーパークイック」なのだ。これを腕の長さも、身長も違う高橋がそのまま“マネ”をすると、高橋のアドバンテージが消えてしまうのだ。

 北谷キャンプでの2月3日のブルペンで、高橋は“新・山本型”で投げたのだが、その姿には、右肘のしなやかなしなりとともに、豪快に投げ下ろされてくるという、迫力の部分が全く消えていた。

次ページ:立浪監督の投げかけた「疑問」

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