高市早苗氏と稲田朋美氏の力関係が再び逆転? 高市氏の求心力が低下…「杉田水脈は稲田に乗り換えた」との声も

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 4月9日が投開票予定の奈良県知事選挙を舞台にした、自民党の候補者選びが揺れている。1月15日、党奈良県連は高市早苗県連会長(61)=経済安保相=に一任する格好で元総務官僚の平木省(しょう)氏(48)の推薦を決定した。が、これに5選を目指す現職の荒井正吾知事(78)が猛反発し、県連に推薦の取り消しを求めているのだ。

「このままなら保守分裂選挙になる。原因はひとえに高市さんにあるんですよ」

 ため息交じりに語るのは、とある自民党関係者。

「平木さんは高市さんが総務相だった時の大臣秘書官で、彼女にとっては“子飼い中の子飼い”です。昨年、高市さんの命を受けた秘書が知事選に関する独自の調査結果を手に知事室に乗り込んで、“あんたじゃ維新に勝てん”と知事に引退を迫ったとか。高圧的な物言いに怒った知事は、すぐに二階俊博元幹事長(83)らに協力を要請し、年明けの会見で出馬を表明。自身も県連に推薦を求めたんです」

 そもそも平木氏の擁立に関する高市氏の根回しは、余りに不十分だったという。

「平木さんの擁立構想の打診が唐突過ぎて、当初から県連には知事への同情論がまん延していた。傲岸な高市さんへの反発からか、“知事が出ないなら自分が”と一部の首長が名乗りを上げる騒動にも発展したんです」

“杉田は高市から稲田に乗り換えた”

 高市氏を巡っては、1月15日付の「しんぶん赤旗日曜版」が、彼女が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書に関する疑惑を取り上げた。本人は「まったく事実でない」と否定したが、新年早々に永田町を騒がせたことは間違いない。

 政治部デスクが解説する。

「お騒がせといえば、高市は去年の暮れにも岸田文雄総理(65)が表明した、防衛費増にともなう増税方針に強い反対を明言しましたね」

 記者会見で「罷免されるのであれば、それはそれで仕方ない」と大見得を切った姿は記憶に新しい。

「国民や野党に“閣内不一致”との不信感を与えかねない、程度の低いパフォーマンス。すぐに党内には“文句なら大臣を辞めてから言え”との強い批判があちこちから噴出しました」

 当然、高市氏の求心力は急速に低下したそうだ。

「その後に高市の“妹分”として知られる杉田水脈衆院議員(55)が開いた政治資金パーティーでは、主賓格として稲田朋美元防衛相(63)が紹介された。稲田と高市は保守系のライバル同士と目されるだけに、党内は“杉田は高市から稲田に乗り換えた”ともっぱらですよ」

力関係が逆転か

 永田町の住人は機を見るに敏。官邸も例外ではなく、

「岸田総理は先の総裁選で争った遺恨からか、年末に検討していた内閣改造で高市の更迭を検討していたフシがある。後任には稲田の名前がありました」

 その稲田氏はかつて安倍晋三元総理の寵愛を一身に受け、一時は“保守派のプリンセス”ともてはやされた。が、その後に夫婦別姓やLGBTに理解を示したことで愛想を尽かされている。

「稲田はすぐ、防衛増税について“総理の方針は正しい”と擦り寄った。内閣改造は見送られましたが、総理に楯突いた高市と、こびて貸しを作った稲田との力関係は再び逆転しつつある」

 当の自民党本部には、荒ぶる高市氏を尻目に「平木と荒井の推薦を見送る」との見方も出始めている――。

週刊新潮 2023年2月2日号掲載

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