「阪急タイガース」加速で“岡田長期政権”も 阪神球団の反主流派は「粛正」に戦々恐々

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新旧オーナーの挨拶にハレーション対策

 プロ野球阪神では昨年12月21日、藤原崇起オーナーに代わり、阪急阪神ホールディングス(HD)の杉山健博社長が新オーナーに就任した。杉山社長は阪急出身で、阪神出身者以外がオーナーになるのは2006年の阪急と阪神の経営統合後、初めてだ。同HDの角和夫会長の意向が大きく働いたとされる岡田彰布新監督の誕生に続き、「阪急タイガース」への移行が進む中、新旧両オーナーの言葉には関係各所へのハレーションを抑え込む思惑がにじんだ(以下、新旧オーナーのコメント部分は球団公式サイトより)。

 藤原前オーナーは退任理由に、体力的なものを強調した上で、「これまでオーナーの他に代表取締役会長も務めてきましたが、取締役オーナーの職は阪急阪神HDの杉山社長に、代表取締役会長の職は阪神電気鉄道の秦(雅夫)社長に、それぞれ務めてもらうことにしました。経営者として当グループの中心におり、かつ、気心が知れた仲でもあるこの両名が力を合わせて二人三脚で牽引していく体制が球団にとって最善であると考えたからです」とした。

 球団ではオーナーが阪急で、代表権がある会長が阪神。形式上は二頭体制ながらあくまで阪神が主導権を握ると宣言したと言える。

 一方で杉山新オーナーは前任者に敬意を示しつつ、阪急と阪神の融和を強調した。「90年近い歴史と伝統のある球団で、また多くの熱烈なファンの皆さまからご支持をいただいている球団のオーナーということで、身に余る大役ではありますが、これまで藤原オーナーが現場を非常に大切にされてきた、その精神を受け継ぎながら、これからは秦会長と力を合わせて全力投球していく所存です」

 新旧両オーナーの言葉の裏を読むと――。

「06年の経営統合の際、本来は新たな球界参入となれば、約30億円の預かり保証金などを支払う義務があるところを、阪神の根回しにより、大幅に減免された経緯がある。この時、向こう10年は阪急が球団経営に関与しないとの合意があったという。10年はとっくに経ったとはいえ、阪急色を前面に出すと、預かり保証金の件が蒸し返される危険性がある。穏便なオーナー交代を狙ったのだろうが、いずれにしても阪急出身者がオーナーになったことは大きな転換点」(遊軍記者)

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