クリーニング業界の苦境 大手業者は「値上げはできない。付加価値で利益を出すしか」

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経営悪化が常態化

「原油高騰で、うちだけでなくプラスチック製品を扱う企業やガソリンスタンドなど、かなり広範囲の企業の業績が悪化しています」

 と解説するのは、個人のクリーニング店が加盟する「東京都クリーニング生活衛生同業組合」の広報担当者。

「ただ、個人のクリーニング店の場合は今に限らず、苦しい経営が常態化しているのです。チェーン店のように大きな工場がないのでコストがかかってしまうからです。これだけ原油が高騰すると採算が合わなくなっているのですが、個人経営店は値上げができないのです。顧客が離れるのが怖いのだそうです」

 深刻な人手不足も経営を圧迫している。

「コロナの前は、外国人を雇っている店がありましたが、コロナの感染が広がると、みな帰国してしまいました。慢性的に人手が足りない状態が続いています」(同)

 それにしても、採算が取れないのにクリーニング業を続けて行けるのだろうか。

「ハンガーなどは、リサイクルしてコストを軽減しています。また、個人経営だと、自宅で店を営んでいるのがほとんどですから、家賃がかかりません。採算に合わなくても、生活を切り詰めてなんとか暮らしているのが現状です。そもそも、贅沢なんてできるような業種ではないのです。極端な話、その日の食費が賄える分を稼げばいいのですよ」(同)

デイリー新潮編集部

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