プロモーションは大炎上の映画「SLAM DUNK」 スラダンファンが鑑賞して感じた「THE FIRST」に込められた意味とは

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 アラフォー世代には座右の銘を聞くより、「SLAM DUNK」で好きなキャラを聞いた方がその人の人生観が出るように思う。そう、先日公開された映画「THE FIRST SLAM DUNK」の話である。

 原作者の井上雄彦先生が監督と脚本も務めた話題作で、公開2日間で動員84万人、興収12億9600万円を記録したという。ただ良い話題ばかりではなく、特に宣伝手法や製作陣への批判はたびたび上がっており、前評判は芳しくなかった。

 最も批判を浴びたのが、声優を一新したという情報解禁のタイミングだ。もともと完全新作ともテレビアニメの続編とも明かしていなかっただけに、チケット前売り段階ではアニメ続編を期待したファンが多かったという。しかし販売後に新キャストが発表され、落胆の声が広がった。メインメンバーの一人であるゴリ(赤木剛憲)役の梁田清之さんが逝去されたという悲しいニュースもあり、さまざまな理由が背景にはあったのだろう。井上先生のインタビューによれば、今回の作品ではナチュラルな感じにしたいこと、それゆえ当時の声優さんを起用するとなると、それまでのお芝居を捨ててもらうことになるので心苦しい思いがあったことを明かしている。

 聞けば聞くほどモヤモヤする、そんな声も聞こえてくる。スラムダンクの難しいところは、原作ファンとアニメファン、原作は好きだがアニメは見ていないファンなど、さまざまなファンが入り交じっているところだ。それだけ影響が大きいコンテンツだというのに、今回のプロモーションはなぜか徹底して情報を小出しにした。それはワクワクする気持ちを高める方向ではなく、不安ばかりをあおってしまったのではないだろうか。原作ファンであろうとアニメファンであろうと、「自分の青春を否定されるのでは」と思ったことだろう。連載当時の井上先生の発言を見ると、テレビアニメにはあまりいい思いを抱いていないように思えることもある。追い打ちをかけるように、20代の製作スタッフによる「“『SLAM DUNK』、こんなんで少年の心、つかめるのかよ”と思っていた」というインタビューも批判される始末。そりゃ原作を知らないのは世代的に仕方ないよなとは思ったものの、これまで疑心暗鬼だったファンにとってはますます、大切な思い出を汚されたような気になったのではないだろうか。

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