安倍派後継争い、世耕氏を推す“38人の血判状”で大騒ぎに 予想外の顛末とは

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「安倍晋三元総理総裁の遺志を継承できるのは誰か。それをどう決めるのか――」

 97人を擁する自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)は、この難題を4カ月以上も解決できず、いまも会長ポストが空位という“異常事態”が続いている。

 安倍元総理が暗殺された7月に開催された派閥総会では、当面は、塩谷立、下村博文の両会長代理をはじめ、松野博一官房長官、萩生田光一経産相(当時)、西村康稔事務総長(当時)、高木毅党国対委員長、世耕弘成党参院幹事長、稲田朋美事務局長ら幹部8人による集団指導体制“世話人会案”が内定。

 ところがその直後、旧統一教会問題と世代交代論で沈んだ下村氏を除く、7人から3人の複数代表を選ぶ「共同代表案」をはじめ、一時は有力視された「塩谷暫定会長案」、さらにはあえて会長を決めない「代表代行体制案」などの案が浮かんでは消えていった。

38人が“血判状”に署名

 現時点での次期会長有力候補は塩谷、松野、萩生田、西村、高木、世耕の6氏。中でも安倍氏の国葬儀を終えた9月下旬に「当面は総裁選に出ようという野心のない塩谷会長にして、次の体制を考えよう」(安倍派幹部)とまとまりかけたが、その矢先に動き出したのが、世耕氏が会長を務める参議院安倍派(清風会)だった。

「先月18日、毎日新聞が『安倍派後継争い 熱帯び』と題して〈世耕会長のもと一致団結して行動する〉と、清風会所属の38人が“血判状”に署名し、11日にそれを世耕氏に届けたと報じました。当選5回の世耕氏は、かねて総理・総裁の有資格者となる衆院への鞍替えを模索しており、それだけに“会長クーデターが目的では”と派内は大騒ぎになったのです」(政治部記者)

 ところが、展開は予想外の結果に。

「あの時の世耕氏は“塩谷会長案”で動いていたが、実は一部の若手や中堅が世耕氏を共同代表の一人にしようと画策したものだった。世耕氏は不穏な動きを疑われ、塩谷暫定会長構想もあえなく頓挫しました」(同)

 ちなみに「共同代表案」は「複数人でまとめる体制にすべき」だという考えの森喜朗元会長の発案だが、清風会の一部がそれに便乗し、世耕氏を擁立する構えを見せたため、三者三様の“痛み分け”となった格好で、不発に終わったわけである。

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