西島秀俊、来年1月期のテレ朝「刑事ドラマ」で主演へ はぐれ刑事純情派以来30年ぶり

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シリーズ物のメリット、デメリット

 テレ朝の最近の「木曜ドラマ」は挑戦的だ。昨年も1月期、4月期、7月期、10月期のうち、2期がシリーズ物だった。天海祐希(55)主演の「緊急取調室 (4th SEASON)」(7月期)と米倉涼子(47)主演の「ドクターX~外科医・大門未知子~(第7弾)」(10月期)である。

 だが、今年は違う。松本潤(39)主演の「となりのチカラ」(1月期)、木村拓哉(49)主演の「未来への10カウント」(4月期)、竹内涼真(29)主演の「六本木クラス」(7月期)、そして岡田将生(33)主演の「ザ・トラベルナース」(10月期)と全て新作だ。

 シリーズ物は視聴率が事前に読みやすく、基本形が出来ているから制作も比較的やりやすいが、一方でデメリットもある。連ドラは局の存在感をアピールする役割も担っているが、シリーズ物が多いと旧態依然とした印象を持たれてしまう。また話題の多くを他局の新作に持っていかれる。

 加えてシリーズ物はレギュラー出演陣の年齢が徐々に上がっていく。すると、核となる視聴者の年齢も一緒に上がり、スポンサーが一番求めている若い視聴者が付きにくい。

 テレ朝の世帯視聴率は日テレに次ぎ2位。ところが、2022年度第1四半期決算(4~6月)を見ると、日テレの売上高が713.1億円(前年同期比3.6%減)なのに対し、テレ朝は同536.2億円(1.7%減)。大きく水を空けられている。日テレの視聴者のほうが若いというのが主な理由だ。世帯視聴率はもう業績と結びつかない。

 売上高はTBSが同548.6億円(2.0%増)、テレビ東京が同276.0億円(8.1%増)、フジテレビが同554.7億円(1.5%減)。テレ朝の売上高は視聴率で勝っているTBS、フジより下なのだ。各局がコア視聴率(13~49歳)を最重要視する理由もここにある。

 ちなみに日テレとフジはTverなど無料配信で得られた広告収入も公表している。その第1四半期決算の金額は両局とも同じで、9.9億円。売上高と比較すると、はるかに少ない。

 配信は身近になりつつあるものの、民放の主戦場はまだまだ放送。それでも連ドラは配信コンテンツとして将来性が見込める。テレ朝が「木曜ドラマ」の変革に熱が入る理由も「視聴者の若返り」と「配信コンテンツとしての価値上昇」にほかならない。

 テレ朝の変革の姿勢はほかの連ドラ枠にも表れている。この9月で木曜午後8時台の連ドラ枠「木曜ミステリー」を廃止し、10月から新たに火曜午後9時台に連ドラ枠を設けたが、その1月期の「星降る夜に」の主演は吉高由里子(34)。コア層に人気が高いとされる吉高がテレ朝の連ドラに主演するのは初めてだ。

 北村匠海(24)とのダブル主演となる。こちらもコア層の支持が厚いと見られている。吉高は感情を忘れ、孤独に生きる産婦人科医に扮し、北村は聴覚障がいのある遺品整理士役。2人は恋に落ちる。テレ朝では珍しい部類に入るラブストーリーになる。

 無論、視聴者の若返りを意識してのことに違いない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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