宮城県で「孫の育休」が取得可能に? 「家族全員での子育てを応援」

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 共働きで忙しい親に代わって祖父母が育児を手伝う「孫育て」を推奨する自治体は少なくない。だが、世の中は70歳定年時代。減り続ける年金を補うために爺さん婆さんは、働き詰めである。

 そこで、宮城県の村井嘉浩知事が、孫の育児をするために県職員が特別休暇を取得できるようにする方針を明らかにしたのは今月3日のこと。宮城県庁では改正地方公務員法によって定年を60歳から65歳に段階的に引き上げる措置を2023年度から行う。結果、孫がいる職員が増えるのを見越して、従来の育休制度を広げることにしたというのだ。

 宮城県庁の人事課の担当者によると、

「日本でも昔は家に祖父母が一緒に住んで家族みんなで子供の面倒を見ていたものです。“孫の育児休暇”は、親だけでなく家族全員での子育てを応援する意味もあります」

村井知事も孫のために休暇取得

 もっとも現時点で、休暇を何日取れるなど、具体的に決まっていることはない。

「現在、県庁では男性職員に対して『配偶者出産補助休暇』など、最大7日間の育休が取れるようになっていますが、これが参考になるのではと考えています」(同)

 実際に導入するとなれば、宮城県は47都道府県で最初に「孫の育児休暇」制度を始めた県となる。それもあって村井知事は3日の会見で、

「共働き世帯が増加し、夫婦の協力はもちろん、祖父母も積極的に孫の育児に関わり、子育て世代を支援する必要があります」

 とアピール。自分自身は特別職で新制度は利用できないものの、9月23日に生まれた2人目の孫のために休暇を取ることも明らかにした。

 国際政治学者で娘の子育て中でもある三浦瑠麗氏が言う。

「私見なのですが、家や近所に祖母(あるいは祖父)がいて、子育てを手伝ってもらえる夫婦は複数の子供を持つことが多いように思います。これを私は“おばあちゃんの壁”と呼んでいまして、1人目を授かった夫婦が2人目をどうしようかと考えた際の大きな判断材料になる。ベビーシッターが定着していない日本では、身内に子育てを頼る仕組みにせざるを得ないのでしょう」

 新制度が始まるのは来年1月からの予定。年金をもらえるのは当分先なのに、日本の年寄りは何かと忙しい。

週刊新潮 2022年10月20日号掲載

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