話題作が目白押し! 秋の新作アニメでも“ひとり勝ち”「ジャンプ」不動の強さの秘密

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「ジャンプ」最強伝説の理由

 ジャンプ原作モノがここまで増えるのは、アニメ化した際のヒット率の高さに尽きるといっても過言ではない。アニメ全体の本数が増えるなかで、知名度の高いジャンプ作品は圧倒的なアドバンテージを持ち、人気漫画のアニメ化を求めて製作者サイドがジャンプ編集部に殺到しているといわれるほどだ。

 ヒットを量産する背景に、近年のジャンプ編集部のアグレッシブな姿勢が指摘できる。なかでもアプリを中心とした「ジャンプ+」のネット戦略は、紙雑誌の販売部数が減少するなかで着実に読者を増やしている。

 編集部が読者に提供できる作品数は紙媒体では誌面の制約上限りがあるが、ネットの「ジャンプ+」なら掲載本数は飛躍的に伸びる。それはジャンプ編集部が得意とする新しい才能の発掘機会を増やし、他社をさらに突き放す“エンジン”にもなっている。今年4月に放送開始後、大ヒットした「SPY×FAMILY」は「ジャンプ+」発の大成功例といえる。

「ジャンプ+」発のアニメ化は、今後も大型タイトル「怪獣8号」などが続き、当分、躍進はおさまりそうにない。

 実はジャンプ作品への人気集中は、アニメ業界の保守化の裏返しでもある。すでにアニメは一般層へと浸透し、大衆化したといわれる。つまりアニメへの抵抗がなくなったことが相次ぐ大型ヒットの理由にもなっている。それは同時にプロジェクトの大型化を促し、大ヒットを狙うがゆえにアニメの製作費も急上昇。“失敗できない”とのプレッシャーはかつてないほど強まっている。

Netflixら“黒船”の思惑

 Netflixなどの外資系配信プラットフォームも事情は同じだ。日本上陸当初は、これまでにない野心的な企画やロングテールのビジネスも「配信なら実現できるかもしれない」といわれたものだ。しかし世界規模の膨大な視聴者を満足させ、ユーザーを獲得しなければならない配信会社こそ、より大衆的な作品を必要とする宿命にあった。

 昨秋、日本アニメ進出を宣言したディズニープラスの第1弾独占タイトルのひとつが、「少年ジャンプ+」作品をアニメ化した「サマータイムレンダ」であるのは、それを表わしている。

 ヒット作の続編や昔の人気作品のリブートも保守化の流れのひとつといえる。新作ではあるものの、この秋シーズンには「僕のヒーローアカデミア」(第6期)、「SPY×FAMILY」(第2クール)のほか、「モブサイコ100 III」、「ゴールデンカムイ」(第4期)、「弱虫ペダル LIMIT BREAK」、「不滅のあなたへ」(シーズン2)、「ポプテピピック」(第2シリーズ)などが続く。

 リブート作品では「うる星やつら」のほか「令和のデ・ジ・キャラット」などもある。「BLEACH 千年血戦篇」は前シリーズから10年ぶりの続編となるが、復活の大きな要因は「海外」にあると考えられる。00年代、「BLEACH」は日本以上に北米やアジアで人気が高かった。海外マーケットを当てにすることで、大きな企画が成立するようになったのも20年代の特徴だ。「チェンソーマン」も海外での原作漫画の売れ行きが絶好調で“海外牽引”の面が強い。

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