五輪汚職「高橋治之容疑者」の実弟は資産1兆円のバブル紳士 棺の中に“あんぱん4つ”の哀しさ

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シャワールーム付きの自家用ジェット

 手始めにロイヤルメドウゴルフクラブ(栃木県)を開発。ゴルフ会員権ブームの追い風も手伝って、約120億円が転がり込む。それを種銭にして、海外への進出を試みた。

 まず飛んだのはサイパン。日航時代の上司からの情報で視察したのだが、宿泊したハイアット・リージェンシー・サイパンに魅せられた。B氏が言う。

「ロビーから海と椰子の木が見えて、スイートルームにはキングサイズのベッドにフリルの天蓋、プール。のちに約40億円で売りに出たという情報が入ると、即購入でした。これで高橋はホテルの魅力に取りつかれた。買うなら超一流のホテルだと確信したのです」

 高級ホテルを手にした者には、ニューヨークでもトップクラスの資産家しか知り得ないような超一流ホテルなどの物件情報が入り始める。A氏によれば、

「持ち込むのは、個人で営業する外国人投資家です。高橋さんにはそういう人が数人いた。その情報を頼りに、自家用ジェットで現地を見に行っていました」

 銀行関係者は彼の動向を血眼で追った。行先がわかると「社長、私も連れて行ってください」と懇願したという。かくして、自家用ジェットには長銀や大手信託銀行の取締役、有力支店長クラスのご一行様が乗り込むことに。A氏ら若手社員3人はホストよろしく、銀行員のホテルの手配など接待に走り回ることになる。

 実はこのジェット、政官界の人脈醸成にも一役買っている。自民党の小沢一郎、中西啓介はオーストラリアに飛んだし、田谷廣明東京税関長も香港へ。じっこんの山口敏夫の三男がアメリカで事故死した際は、亡きがらを日本に移送したりもした。

 所有していたのは3機で、ボーイング727と737、BAC1-11。実働していたのは前記2機で、共にパンナムなどで使われていた約20年ものだった。

 機内のしつらえは、約12席のシート、会議室、リビング、寝室にシャワールーム。驚いたのは、現地の空港に着くと、入国審査が不要だったことだ。

「それは相手国の担当者が手続きしてくれるから。一流のホテルを複数持ち、自家用機を所有しているというのは、その人の信用を担保するものなのです」(A氏)

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