警察は安倍元首相へのテロを助長したのではないか? とまで言われるキッカケとなった一件とは?

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想定外の連続

 安倍晋三元首相(享年67)が街頭演説中に銃撃されて亡くなった事件で、要人の警護を担当するSP(セキュリティ・ポリス/警護員)のみならず警察そのものへの信頼が揺らいでいる。当初は警察当局内でも同情論があった中、庇う声すら聞かれなくなるキッカケがあったという。

「銃撃事件直後に警察庁内に立ち上げられた『検証・見直しチーム』の検証の結果、いくつかの問題点が浮上しています。例えば、警察庁が警護計画をチェックしていないのが常態化していた、SPの数が少なく制服を着た警察官が配置されていなかった、手製の銃でテロ行為を行う者がいるのを想定していなかった、現場で行われたSPの配置変更が現場指揮官に伝えられず、結果的に安倍氏の背後を警戒するSPがほとんどいなかったことなどです」

 と、社会部デスク。

「警察当局の関係者に話を聞いたところ、ああいった形で要人が襲撃されることがあり得ると考えていた人はほとんどいませんでした。銃器にアプローチできるのは暴力団など反社会的な組織に限られるという考え方も根強くありましたね。YouTubeを見ながら、市販の材料で殺傷能力の高い銃を作ることができるなどということについて想像していた人も皆無でした」(同)

1発目はなかなか防げない

 銃器を製造するにあたって必要なのは、特別な知識というよりはむしろ粘り強さや根気だったということも警察にとって想定外でショッキングだったという。

 一般人であっても銃を持てるとなると、事前の摘発などは難しいのかもしれない。しかし、今回の場合、「2発目の銃撃」への対応がお粗末だったとも指摘されてきた。

「SP経験者が言っていたことですが、“最初の攻撃を未然に防ぐべく最大限の努力や準備をするが、それでも本気で攻撃してきた場合は防げない可能性が高い。大事なのは2度目の攻撃をどう回避するかだ”と」(同)

 この点、今回の1発目の発砲について、現場を担当したSPから「タイヤの破裂音やパーティー・クラッカーの音と勘違いして反応できなかった」との声が上がっていることが報じられた。

「今回のような変則的な銃への対応は、全くできていなかったということでした。もう少し典型的な銃に近い発砲音だったなら2発目への反応は全く違ったはずだという指摘もありました。問題点、反省点を挙げればキリがないのですが、その一方で“あそこまでは事前に誰も想像できない”という理由から警察内で擁護論が当初、大きかったことも事実です。もちろん、警護対象者が警備の不手際で死亡してしまっている以上、表立ってそのような意見が出ることはありませんが」(同)

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