中国戦は屈辱の引き分け 橋本拳人をなぜアンカーで起用しなかったのか

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

 7月24日に行われたEAFF E-1サッカー選手権の第2戦で、日本は23歳以下の若手が主体の中国と0-0で引き分けた。第1試合で韓国が香港を3-0で下したため、日本は最終戦の韓国戦(27日)での勝利が優勝するための絶対条件となった。

 ***

 19日の香港戦から全員を入れ替えて臨んだ中国戦。香港戦が横浜F・マリノスの選手5人をスタメン起用して試合の主導権を握ったように、森保一監督は中国戦に広島の選手5人をスタメンで起用した。“急ごしらえ”のチームのため、所属チームでのコンビネーションを生かそうという狙いだ。

 その狙いは悪くない。しかし、起用方法がまずかった。キャプテンを任された左SB佐々木翔とCB荒木隼人の2人は、広島では3BKを採用している。佐々木は日本代表で左SBの経験があるとはいえ、やはり勝手が違ったのだろう。守備はともかく、攻撃で効果的なプレーを見せることはほとんどできなかった。

 野津田岳人の左ボランチは慣れたポジションである。そして森島司を左FWに起用したが、これが失敗の原因となった。GK大迫敬介から佐々木、野津田、森島とタテのラインを広島勢で固めたものの、森島の本来のポジションは右のトップ下、いわゆるシャドーである。彼が慣れないポジションに起用されたことで、日本の左サイドからの攻撃は機能不全に陥った。

カードを切らなかった監督

「不幸中の幸い」と言うか、FW宮市亮、ボランチの橋本拳人、右SB小池龍太にトップ下の脇坂泰斗が絡んだ右サイドからの攻撃が機能して、日本は多少なりとも攻撃の形を作ることができた。とはいえ、宮市が得意のスピードを生かした突破を見せても、1トップの細谷真大とは息が合わず、日本の決定機は後半8分に脇坂のパスを受けた細谷がGKと1対1になったシーンだけ。

 しかし、フリーになった細谷が慎重を期して蹴ったインサイドキックは、ボールがイレギュラーしたのか大きく浮いて、日本は千載一遇のチャンスを生かすことはできなかった。

 試合後の森保監督は「森島に関しては、(中国の)インサイドハーフがワイドに出てくることが予想されました。そこで彼らしく中間ポジションで起点になりながら、時折ワイドに開くという、予想通りの試合展開の中でのプレーだったと思います」と左サイドでの起用の意図を話したが、中国がそこまで攻勢を強めたシーンは皆無に等しい。

 ひたすらゴール前を固め、5BKの前に4人を並べる超守備的な布陣だったので、森保監督はもっと早い段階から攻撃的なカードを切っても良かっただろう。

次ページ:低い本気度

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。