オリックス“ラオウ”杉本裕太郎を覚醒!“イチローを超えかけた男”根鈴雄次が語る「打撃理論の神髄」

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分厚く当てる

 ただ、この「回旋」を伴うスイングを、米国では「リストターン」と呼び、よくないバッティングの典型とされている。

「確かに、きっちりとボールを捉えられていれば、リストターンすればボールはよく飛ぶんです。でも、それは『点』で捉える動きなんで、確率が低いんです。今、その腕の使い方をするのは、日本人だけです。グーッと押し込んで、このままフォローを取る。あれでいいんです。今は、それが主流です。腕は(最後に)勝手に返るんです」

 根鈴は、ボールとバットが当たる瞬間を、実際にサッカーボールとバットの位置で示してくれた。

「分厚く当てるんです。漫画みたいに、ボールがぶわ―っと当たって、びやーんとへっこむようなシーン、あるじゃないですか? この分厚く当たって、角度を出す当て方。それはボールの丸と、バットの丸じゃない」【写真3】

 レベルスイング、つまりバットをボールに対して「横」に出していく“日本流”だと、バットがボールの上に入ってしまうと「薄く当たって、ちん、と当たって、くそゴロが出ちゃう」。逆に、バットがボールに下に入ると「もぐってしまって、ぴょこんとフライが上がってしまう」【写真4】

 当たり方を解説してもらうと、よく分かる。
 
「だから、いかにしてボールに対して、バットが縦に入るのか。このコース、日本の打ち方をしていたら、ここにバットが出ないんですよ」

 そう言いながら、根鈴がボールを置く「ティー」を、インコース低め、つまり自分の左ふくらはぎ付近に設置した【写真5】。

 例に挙げたのは、二刀流・大谷翔平(アナハイム・エンゼルス)だった。
                             (後編に続く)

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)。

デイリー新潮編集部

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