議論百出「AV新法」の抜け穴、 配信者が明かす「FC2コンテンツマーケット」という“無法地帯”

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ギャラ交渉は「マスクなしで10万円」

「通常、女性が正規メーカーのAVに出る際にはプロダクション協会加盟のプロダクションに所属したうえで契約を結ぶことになります。契約後、女性が翻意する可能性も考慮し、1週間ほど撮影禁止期間が設けられている。その後、AVメーカーと契約内容や撮影の段取りなどに関する交渉が行われ、最初の契約から撮影までには最低1か月以上はかかるようになっています」(AVメーカー関係者)

 女性に出演料が払われるのは契約後、2か月以上先になるといい、当然、出演料からはプロダクション側の手数料が引かれた額が支払われることになる。

 さらに契約方法もまったく違う。AV新法では、撮影内容の具体的な説明や出演者が特定されるリスクなどを契約時に説明することが義務付けられる。

 FC2では、個人の撮影者と出演者が直接やり取りするため、撮影内容や販売期間などについては「口頭で伝えるのみ」だったと話すX氏。

 肝心の女性が受け取る出演料については、

「平均して5万~10万円が相場。コロナ禍でマスク生活が当たり前になって以降は、身バレの心配も減る“マスク着用で5万円”、“マスクなしなら10万円”といった感じで勧誘しています。正規AVのギャラより見劣りするかもしれませんが、同人なら丸々入るので、手取り分でいえばそれほど遜色はないはず」

トラブル絶えずルール変更

 ただし、その“お手軽さ”ゆえに撮影や配信後のトラブルが絶えず、昨年9月には大手AVメーカーの作品がFC2のサイトに違法にアップロードされる事件も発生。それらを受け、AV新法に先立つ昨年10月、FC2でも動画配信におけるルール変更が行われたという。

「それまでは見た目で判断するだけで、出演者の年齢確認などはしていませんでした。けれど昨年10月以降、撮影前に女の子に身分証の提示を求めたり、書面で契約書を交わさなければならないといったシステム変更がサイト側から通達されました。でも法律に基づくものではないので、各配信者がどれだけ遵守しているかは不明な部分があります」

 それより以前に配信された動画は新ルールの適用対象外となっているそうで、過去の作品については児童ポルノ禁止法に抵触しかねない動画も含め、無法が罷り通る流通実態のままという。

 X氏は率直にこうも話した。

「同人AVといえど、新法の適用対象であるとの認識はありますが、FC2の場合、個人撮影者の集合体なので、それぞれの順法意識に任せる部分が大きい面は否めない。また、同人AVの配信先はFC2以外にも複数存在します。AV新法が施行されたからといって、個々人の配信者たちが皆、襟を正すとは考えづらいのですが……」

 野放図な同人AVへ斬り込めるか。AV新法の真価が問われている。

河合桃子(かわい・ももこ)
ライター

デイリー新潮編集部

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