綾瀬はるか「元彼の遺言状」 第1話から推理の材料全開、浮かび上がる9つの謎

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 綾瀬はるか(37)が主演するフジテレビの月9「元彼の遺言状」(月曜午後9時)が第2話を迎える。第1話の世帯視聴率は12・1%(個人7・2%)と上々だった。今後、より人気が高まるのか、それとも――。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)

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 原作は弁護士資格を持つ新川帆立さん(31)の同名小説。2020年に「第19回このミステリーがすごい!」の大賞に選ばれている。面白さは折り紙付きだ。

 それをドラマ版は、かなり改変している。改変の割合は月9の前作「ミステリと言う勿れ」を上回る。改変されたことで原作を読んだ人も新鮮な気分で楽しめるものの、落胆してしまう恐れもある。両刃の剣にほかならない。

 より人気が高まっていくか、失速するかのカギは、改変が握っている。フジは「原作の世界観はそのままにドラマオリジナルのエピソードも描いていく」と説明している。

 綾瀬が演じる主人公の弁護士・剣持麗子のキャラクターはそのまま。美しく頭がキレるが、おカネに弱く、高慢なところがある。

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という突拍子もない遺言状を残して死んだのが麗子の元彼・森川栄治。生田斗真(37)が扮する。ドラマ版と原作では表向きの死因が違う。ドラマ版は風邪だが、原作はインフルエンザ。これは大した問題ではない。

 大胆に変えてきたのは、大泉洋(49)が演じる篠田敬太郎の立場と役割だ。ドラマ版では栄治が所属していたサークル「ミステリー研究会」の先輩で準主人公だが、原作では栄治と小学校から大学まで一緒のお坊ちゃまで影が薄い。

 ドラマ版の敬太郎は栄治が所有していた軽井沢の別荘の管理人をしている。40歳を過ぎて人生に行き詰まっていた時、栄治が自分の療養先である別荘の管理人にしてくれた。今もミステリー作家を目指しており、推理好きだ。

 もっとも、推理力はからっきし。自分が電話をかけた時、麗子が1人で焼き肉を食べていたことから、「何か嫌なことがあった証拠」と読んだが、麗子から「私はいつも、焼き肉は1人ですけど」と、あっさり否定されてしまった。

 敬太郎は麗子に対し、栄治の遺産を相続し、2人で山分けしようと持ち掛ける。栄治は「森川製薬」の創業一族の一員で、残した財産は株だけで300億円以上。これは原作と一緒だ。

 相続権を認定する森川一族の興味は、誰が栄治を殺したかということより、栄治の株を誰が相続することになるか。どんな人物が新たな大株主になるかである。だから麗子たちは、一族側にとっておいしい株主になるとアピールすればいい。敬太郎と麗子が株主になったほうがトクをすると思わせるのだ。これも原作と同じ。

 あとは敬太郎が栄治を殺したことを形ばかり証明すれば、相続は成立する。敬太郎は栄治が亡くなる前に釣りに連れて行っており、風邪を引かせていた。原作では敬太郎が栄治にインフルエンザをうつしたことになっている。

 ほかの主な違いは――。

▼原作での栄治は学生時代、イベントサークルに所属。ドラマと違って暗号づくりの趣味はない

▼ドラマでは、森川製薬社長で栄治の父親・森川金治(佐戸井けん太)と栄治の伯母で同社専務の森川真梨子(萬田久子)が対立している。原作の専務は、真梨子の婿・定之。やはり金治と対立している。さらに、同社には投資会社から送り込まれた副社長・平井真人がいる

▼ドラマでは、栄治の遺産を12人の元カノに分配しようとしたところ、1人が辞退。原作では、元カノ1人が病死したことになっている――

第1話で放出された「推理の材料」

 ドラマと原作の違いはまだあるが、これくらいにして、ドラマの第1話から推理の材料を拾い出してみたい。初っ端から盛大に放出された。

▼別荘内で栄治が死んだ朝、なぜ愛犬のバッカスは吠えていたのか。外部からの侵入者がいたのか。バッカスは栄治以外の森川一族の人間にも吠える

▼頭脳明晰であるはずの麗子が敬太郎を記憶していないのはどうしてか。敬太郎は本当に栄治の先輩か

▼遺産を受け取る権利のあった元カノ12人のうち、1人が辞退したのはどうしてか。おいしい話なのに、辞退しなくてはならない事情があったのか

▼栄治が殺された朝、地元の病院から別荘に派遣されていた栄治付きの看護師で元カノの原口朝陽(森カンナ)が遅刻したのはなぜか

▼食事の席で栄治が左利きだったことが話題になった。事件の真相を読み解くサインの1つではないか。隣人でバッカスの担当獣医・堂上圭(野間口徹)の息子・亮(白髭善)がナイフを落とすと、堂上が「すみません。今、利き腕を矯正中で」と謝罪。すると敬太郎が「(栄治も)左利きだったじゃないですか」と続けた。意味深だった

▼栄治の顧問弁護士・村山権太(笹野高史)はどうして殺されたのか。既に栄治から託された遺言状は盗まれており、存在しない。村山は何か一族の秘密を知っていたのか

▼そもそも栄治が奇妙な遺言状を残した理由は何か。栄治の兄で文化人類学者の富治(生田斗真の2役)は「ポトラッチ」説を唱えた。それは北米の先住民族に伝わる風習で、贈り物をもらったら、それ以上の物を返さなくてはならないという。栄治は返せない贈り物を贈り、相手を苦しめようとしたのか

▼富治はなぜ、相続放棄したのか

▼麗子が栄治から相続した「暮らしの法律事務所」に行ってみたところ、地下鉄の路線番号などを使った豊治からの暗号を知る。「B3 E5 A13 E10 A4 E5 C10 A13」。これを麗子は「しのだをたのんだ」と解読し、軽井沢に戻る。敬太郎は狙われているらしい。なぜ――

 動機は富治を除いた一族の全員にある。父で社長の金治は栄治の株が欲しくてたまらない。伯母で専務の真梨子も同じ。

 栄治の従兄弟で森川製薬の新薬開発を担当する森川拓未(要潤)、その妻で栄治の元カノでもある雪乃(笛木優子)も、やっぱり株は欲しい。さらに、拓未の新薬開発に栄治は反対していたと金治は証言した。

 拓未の妹で栄治にゾッコンだった紗英(関水渚)の場合、痴情のもつれが考えられる。

 第2話以降は、麗子、敬太郎と一緒に、観る側が犯人を推理する形になるだろう。疑わしい人物だらけだから厄介だ。

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