〈マイファミリー〉早くも気になる“犯人は誰なのか” 候補者を具体的にあげると――

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犯人候補の5人

 犯人候補を挙げてみたい。

◎(本命) 東堂樹生(濱田岳)。鳴沢夫妻の大学時代の親友。夫妻と同じ厚木サンハイツに住んでいた。今は警備会社に勤めているが、元刑事。葛城によると、4年前の「こはる」さん誘拐事件に関与している。

 葛城は捜査1課長の吉乃栄太郎(富澤たけし)に対し、2つの誘拐事件が同一犯であると言い切る。身代金受け渡し場所に「遠足先」が指定されたところが一緒で、どちらの事件にも東堂が絡むからだ。

「つながっているんですよ」(葛城)

 東堂は「こはる」さんの肉親なのか。あるいは、この事件の捜査で重大な失敗をして警察を去ったのか。

「こはる」さんの事件では葛城がミスを犯したことが分かっている。現場指揮官車(通称・L2)に詰める日下部七彦・捜査1課管理官(迫田孝也)がそう漏らした。「こはる」さん事件は未解決で県警の痛恨事らしい。解決していたら、現在起きている事件と同一犯であるはずがない。

 鳴沢夫妻が身代金を京浜東北線の洋光台駅から大船駅に運んだ際、東堂と似た男が同駅ホームにいた。その男はスマホを見ており、画面に映っていたのはリビットウォーカーのゲーム。泣きそうな目をしたカエルのカップルがバッグを運んでいた。

 横顔だったので東堂かどうかは断定できないものの、この男が誘拐に関与しているのは間違いない。

○(対抗) 三輪碧(賀来賢人)。やはり大学時代には厚木サンハイツに住み、鳴沢夫妻と親友だった

 気になるのは三輪が最初に登場した際、少女用のワンピース2着を買い求めようとしていこと。それを着るのは誰なのか。生きている人物のために買おうとしたのか。三輪も「こはる」の関係者である可能性は捨て切れない。

 東堂と三輪の親友コンビは友果が誘拐された後、美知留から呼び出された。美知留は2人からカネを借り、身代金に充てようとした。

 だが、温人は2人に対し、不快感を露わにする。誘拐前から温人と2人との関係は悪化していたようだ。2人が犯行に関与していた場合、動機には温人との仲がこじれた理由も関わっているのではないか。ひょっとすると、「こはる」さん事件で2人のどちらかに対し、温人が冷淡だったのか。

▲(穴) 鈴間亜矢(藤間爽子)。ハルカナ・オンライン・ゲームズの社員。共犯者という線が考えられる。温人と同社COOの立脇香菜子(高橋メアリージュン)、取締役・備前雄介(渡辺邦斗)のリモートによる財務会議を断りなく聞いていた。資金繰りなどの経営計画が話し合われており、経営者以外が聞いてはならない内容だった。

 犯人の本当の狙いが身代金略取ではなく、温人の破滅だった場合、温人の資産状況や会社の財務内容を知らなくてはならない。そのための内通者役の可能性がある。

無印(候補外) 阿久津晃(松本幸四郎)。日本を代表するネットサービス企業「NEXホールディングス」COO。鳴沢家と家族ぐるみの付き合いをしていていたが、ハルカナ・オンライン・ゲームズの買収を目論んだことから温人とは仲違いした。

 それでも温人は友果の身代金をつくるため、阿久津に所有株10%を売却し、手付金3億円を受け取る。また、美知留と2人で阿久津の会社のライブニュース番組に出演し、警察排除と友果の生還への協力を世間に訴えた。

 阿久津は善人ではない。この事件を温人の会社の買収に利用しようとしているようだ。温人らが出たライブニュース番組の終了後、阿久津のスマホ場面にリビットウォーカーが現れて、温人らしきカエルは敗れ(LOSS)、阿久津と思しき悪玉のカエルが勝った。

 もっとも、阿久津が犯行に関わっているということはないと見る。万一、そうであったら、阿久津は社会的信用を失い、会社は倒産するだろう。温人の会社は危ない橋を渡らなくても手に入れることが出来る。

無印(候補外) 友果。狂言はないと読む。犯人は夫妻との連絡用に海外のプロバイダと契約したSIMのスマホを用意した。契約者は偽名。小6の友果に出来る芸当とは考えにくい。一方、物語の序盤で塾をさぼった友果を誰かが車中から見ていた。この人物が犯人だ。

 ただし誘拐されてから友果が犯人に取り込まれた可能性はある。友果とコミュニケーションが成立していなかったら、身代金受け渡し場所に「遠足先」は指定しにくいはずだ。

 以上、5人並べたが、ドラマのカギを握るのが「こはる」さん事件であるのは疑いようがない。この事件に犯人は潜んでいる。

 おそらく犯人の狙いは温人への復讐だ。それは大船駅にいた男のスマホ画面に映っていたカエルのカップルからうかがえる。悲しそうな目をした2匹。犯人は温人を悲嘆に暮れさせたいのだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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