阪神、開幕9連敗でも・・・「諦めるのはまだ早い」といえる“過去のデータ”

スポーツ 野球

  • ブックマーク

Advertisement

スタートの出遅れは伝統

 開幕戦、大洋戦で8回まで2対0とリードしながら、9回2死から追いつかれ、開幕戦史上初となる「敬遠サヨナラ暴投」で悪夢の黒星スタート。また、翌日も5回まで5対0と大きくリードしながら、まさかの逆転負けで、すっかりリズムが狂ってしまう。

 開幕4連敗を喫した後も“負の連鎖”は止まらなかった。4月24日のヤクルト戦で、延長10回に逆転サヨナラ負けした時点で、2勝10敗1分。首位巨人に7・5ゲーム差の最下位で、くしくも今季(4月6日時点)と似たような成績だった。

 しかしながら、この年の阪神は、5月を10勝9敗1分で乗り切って、浮上のきっかけを掴むと、怒涛の11連勝で巻き返しに成功。最終的に首位と5ゲーム差となる3位で、シーズンを終えた。

 これらの前例からもわかるように、阪神は、伝統的にスタートで大きく出遅れても、浮上できないまま、最下位に沈むというパターンはそれほど多くはない。

 昨季12球団トップの77勝を挙げたチームが、このまま終わるとは思えず、上位チームが僅差の大混戦になれば、これからの巻き返し次第で、浮上の芽が出てくる可能性もある。

 もちろん、反転攻勢に出るために、スアレスの後釜の抑えが固定され、中継ぎ陣の充実化、決定打に欠ける打線のテコ入れなど、現状を打破する軌道修正が不可欠になるが、まだシーズンは始まったばかり。

「もうアカンわ!」はしばらく封印して、阪神が過去にも何度か演じた“大逆襲”に転じる日が来るのを、辛抱強く待ってみるのも悪くない。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。