異国にたった一人で…米国にゴルフ留学中のウクライナ人女子大生を奮い立たせた一枚の写真

スポーツ

  • ブックマーク

「コースはめちゃめちゃにされている」

 先日、この「デイリー新潮」で、ウクライナのゴルフ少年を紹介した。ウクライナでトップジュニアに数えられ、未来のプロゴルファーを夢見る15歳の少年が、米国のジュニア大会を転戦後、次なる欧州遠征に備えようと母国に一時帰国した際、ロシアによる侵攻が始まり、当たり前のようにゴルフができていた「日常」が突然奪われたという悲しい話だ。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

「僕のクラブハウスはロシア軍に占領され、コースはめちゃめちゃにされている」

 少年は悲痛な声を上げながら、命を守るための必死の避難生活を送っていたが、ついに彼は学業とスポーツの夢を追いかけるために家族を残してウクライナを離れることを決意。3月20日に自身のインスタグラムで苦しい胸の内を綴り、後ろ髪を引かれる想いを一生懸命に断ち切ろうとしていた。

 ウクライナのゴルフの歴史は、まだ四半世紀ほどしかない。旧ソ連統治下では「敵のスポーツ」として禁じられていたが、1991年にウクライナが独立してからは、ゴルフクラブを握る人々が少しずつ現れ、1997年には国内5つのゴルフクラブによって構成されるウクライナ・ゴルフ連盟が創設された。

 ゴルフ人口は4000人ほどに増え、ジュニアゴルファー育成のためのアカデミーも次々に創設され、この少年のように世界の舞台を目指す優秀なジュニアが育ち始めていた。

家族を想って胸がつぶれそうな日々

 女子ジュニアも例外ではなく、中には米国のゴルフ名門大学へ「ゴルフ留学」している例もある。

 米カリフォルニア大学デービス校のゴルフ部に在籍するエルさんは、ウクライナからやってきた1年生だ。今年2月までは、チームメイトたちとともに練習したり、試合に出たりしながら、プロゴルファーになる夢を膨らませていた。

 しかし、ロシアによる侵攻が始まってからは、母国にいる家族を想いながら胸がはりさけそうな日々を過ごしているという。

 そんな彼女の悲しい現実を米ゴルフウィーク誌が伝えている。

次ページ:「すぐそばに爆弾が投げ込まれた」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。