ウクライナ危機で「2兆円分の電気代値上げ」の可能性も 焦点は「サハリン2」からの撤退

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夏に計画停電の可能性も

 では仮に、日本が撤退を決めた場合、どうなるのか。

「今、LNGはサハリン2から長期契約で安定供給されており、1英国熱量単位で10ドル程度です。しかし、他国から買い付ければ、その額は60ドルまで跳ね上がる可能性があります」(同)

 その差額は50ドル。輸入量600万トン分で試算すれば、およそ2兆円の負担増だ。これは消費税を1%増税するのに等しく、当然家計は苦しくなる。

 したがって、

「資源のない日本がサハリン2をはじめ、ロシアのエネルギー資源ビジネスから撤退することについては、国益を踏まえて慎重に検討を重ねる必要があります。そもそも電力需給が逼迫(ひっぱく)している折、虎の子のLNGを失えばこの夏、計画停電を余儀なくされる恐れすらある」(政府関係者)

 苦しい事情は欧州も同じで、

「EU諸国も新規事業の停止は謳ったものの、実は開戦後、ロシアからのガス輸入量をむしろ増やしているんです。それに、日本が撤退したって、中国がその権益を手にするだけ。肝心の経済制裁にだってならない可能性があります」(同)

 確かに人道に対するロシアの大罪は許せないが、拙速な判断は、安全保障上も慎むべきというのだ。

週刊新潮 2022年3月24日号掲載

特集「プーチンの断末魔」より

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