ルーブル建て金融商品が大暴落 証券会社は個人投資家の無知に付け込んだ?

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 世界中から経済制裁を受けているロシアは目下、ルーブルが大暴落中である。何しろ、2月中旬から対円で約40%暴落してしまったのだ。だが、これを対岸の火事と眺めているわけにはいかない。侵攻前まで、証券会社が高利回りをうたって「ルーブル建て債券」を個人投資家に売りまくっていたのだ。

 たとえば岡三証券が扱っていた〈世界銀行ロシアルーブル建債券〉は、年利6.14%、みずほ証券が販売した〈国際金融公社(IFC)ロシアルーブル建債券〉が年利4.16%という具合だ。

 証券業界に詳しいジャーナリストが言う。

「ルーブル建て債券のパンフレットには、格付機関からAAA(トリプルA)という最上位の格付が付与されていると書いてあります。しかし、これは発行者の世界銀行や国際金融公社が潰れにくい会社であるというだけで、通貨の安全性とは無関係。そもそもルーブルの価値は10年近く、円に対して下がり続けており、ルーブルで持っているだけで目減りするリスクがあります。また、ロシアはインフレ対策のために政策金利(国債の金利)を7~9%と高めにしてきました。それなのに、日本の個人投資家がルーブル建て債券を買うときは年利4~6%。金利の差額は証券会社の儲けになっているはずです」

虫眼鏡で見ないと分からないほど小さな文字で…

 これだけでも、個人投資家の無知に付け込んでいると言われても仕方がないが、ここに来てウクライナ侵攻である。ルーブル債を持っている投資家は悲惨なことになっているはずで、仮に侵攻前に100万円分のルーブル建て債券を買っていたとして、今頃は60万円。金利がついたとしても大損である。

 もっともルーブル建て債券のパンフレットには、「為替相場の変動により、円貨でのお受取り金額が増減し、投資元本割れのおそれがあります」と書いてある。だが、虫眼鏡で見ないと分からないほど小さな文字なのだ。

 ファイナンシャルプランナーで「RIA JAPAN」代表の安東隆司氏は、

「高齢の個人投資家は株式投資を怖がることがあります。そうした場合、証券会社は良い金利の債券があると言って、通貨そのものにリスクがある新興国債券をセールスするのでしょう」

 投資は自己責任と言うけれど、個人投資家を「鉄火場」に案内した責任はないのだろうか。

週刊新潮 2022年3月17日号掲載

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