「ウクライナ侵攻」五輪直前の首脳会談でプーチン大統領から軍事作戦を聞かされていた習主席

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五輪は平和の祭典だから

 ウクライナがNATOに加入すると、NATO勢力が地続きとなってロシアに到達してしまう。それはロシアにとって脅威に他ならないというわけだ。

「プーチン大統領は習主席に、“NATOは約束を反故(ほご)にしている”とも言ったそうです」(同・政府関係者)

 東西ドイツが統一される際に、東ドイツに駐留していた旧ソ連軍の撤退と引き換えに「NATOの不拡大が約束された」とプーチン大統領は主張したかったようだ。

「プーチン大統領はこういった主張を折に触れて展開してきましたが、これを裏付けるものが具体的に示されていないのも事実です」

 と、政治部デスク。

 ともあれ、一連のプーチン大統領の発言を聞いた習主席は、その思いに理解を示し、受け止めたうえで、「五輪は平和の祭典だから、その期間中は軍事行動を控えてほしい」と答えたという。

「習主席にとって北京五輪は、自身の権勢を内外にアピールし、国家主席3期目突入の前祝的なイベントとして、重要な機会だったはずです。新疆ウイグル自治区での弾圧が報じられる国のトップから“平和の祭典だ”と言われても鼻白む部分がないわけではないですし、ならばパラリンピックはどうなのかと疑問も残りますが、習主席が“晴れの場で自分の顔に泥を塗らないでくれ”と考えても不思議ではないですね」(同・政治部デスク)

最大限尊重する

 先の政府関係者によると、

「習主席の返事に対しプーチン大統領は、五輪期間中の軍事行動を控えることは最大限尊重すると答えたそうです。会談の後すぐ、中国の最高幹部の間では、軍事作戦が展開されるとすると2月21日以降になるだろうということが共有されたといいます」

 それでも習主席はプーチン大統領に「できる限り対話と交渉の道を探る努力をしてほしい」と伝えていたため、

「プーチン大統領の心のうちをさらに探るべく、常務委員らが五輪期間中、各方面にいわば“裏取り”に走っていたということのようです」(同・政府関係者)

 軍事侵攻について聞かされていた唯一の指導者なら、プーチン大統領に何らかのアドバイスができるのも習主席ということになるはずだが……。

デイリー新潮編集部

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