阪神バースは「乗り遅れバス」と陰口…当初は低評価でもシーズンで大活躍した“助っ人列伝”

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 来日前の実績だけでは、活躍できるかどうか、予測が難しい外国人選手。バリバリの現役メジャーが期待外れに終わったケースも少なくない。その一方で、当初はパッとせず、「外れ」と思われた助っ人が、シーズン開幕後、別人のようにブレイクした例もある。【久保田龍雄/ライター】

常にポケットにメモ

 クビ寸前の崖っぷちから一念発起して、本塁打王のタイトルを獲得したのが、1997年にヤクルト入りしたドゥエイン・ホージーである。「三拍子揃った好選手」という触れ込みだったが、キャンプで弱肩を露呈し、打撃も極端なアッパースイングで課題山積。まだ、十分働けるトーマス・オマリーを解雇してまで獲得した新戦力がこのていたらくとあって、「5000万円で代走要員の外国人を獲ってきてしまったわ。ワシは4番が欲しかったんや」と野村克也監督をボヤかせた。

 一緒に入団したルイス・オルティスも打球がなかなか前に飛ばず、揃って“ダメ外国人”と酷評されたことから、開幕直前の3月25日に桑原潤オーナーが「新外国人を探せ」と大号令。この時点でホージーの運命は、風前の灯火に見えた。

 ところが、翌日のナゴヤドーム開設記念トーナメント、ロッテ戦で突然打棒がさく裂する。3回に左打席で満塁弾、6回に右打席でバックスクリーン左へ3ランと別人のような大活躍で汚名を返上。開幕後も4月25日の阪神戦で逆転3ランを放つなど、ここ一番の勝負強さをアピールした。

 マイケル・ジャクソンの物真似など、ひょうきんキャラでもあったホージーは、見かけによらず研究熱心だった。試合中、常にポケットにメモを忍ばせ、1打席ごとに相手投手の配球をチェック。前の打席で追い込まれたあとに変化球で三振に打ち取られると、次の打席では早いカウントから直球を狙うという“野村流”にも通じる配球を読むスタイルで本塁打を量産した。

 同年は38本塁打、100打点で松井秀喜(巨人)を抑えて本塁打王に輝き、チームの2年ぶり日本一に貢献。活躍したのは1年だけだったが、日本で大化けした助っ人の一人と言えるだろう。

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