なぜ今「アングラ演劇」人気が再燃しているのか 寺山修司、唐十郎作品が相次いで上演

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 1960年代から70年代にかけて、時代を背景にした独特の世界観で支持を集めたアングラ演劇。半世紀以上が経過したいま、再び人気に火がついている。

 演劇担当記者が解説する。

「アングラ演劇の巨匠といえば、『天井桟敷』を主宰した寺山修司と、かつて『状況劇場』を結成し、現在はその解散後に立ち上げた『唐組』を率いる唐十郎(81)の二人。この12月には、都内で四つの寺山作品と二つの唐作品の公演が予定されているんです。これまでも、あちこちで上演されてきましたが、ひと月に6公演とは異例です」

 ざっと見てみると、寺山作品は山田裕貴(31)が主演する音楽劇「海王星」(渋谷・PARCO劇場)や、演劇実験室◎万有引力による「Φ迷路と死海」など4作。一方、唐の作品は宮沢りえ(48)主演の「泥人魚」(シアターコクーン)と、新宿梁山泊の「少女仮面」というラインナップだ。

 寺山の著作権を管理する、テラヤマ・ワールドの笹目浩之社長が言う。

「コロナ禍で延期されていた公演がたまたま集中した。そんな偶然はあるけれど、若い世代が寺山や唐の作品が持つエネルギッシュなパワーに惹かれているのは確かです。最近の小劇場における作品は新劇との境界が曖昧で区別がつかなくなっていますが、アングラ特有の、新劇と一線を画した独特の世界観や実験的なアヴァンギャルドの輝きは褪せていません。それがいまも人々を惹きつけるのでは」

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