ブームで増える「サウナ」 アナリストが選ぶ“今年アツかった限定施設”2選

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NAKED NIGHT SAUNA × HOTEL NEW OTANI

 最近は簡易的なテント式サウナを用いたイベントもしばしば行われている。来年1月から2カ月間に亘って開催予定の「サウナタウン下北沢」も、駅近の空き地にテントサウナを置いて行われるそうした催しのひとつだ。HUBHUBよりもよりカジュアルな形でスペースを活用し、集客によって周辺の経済活性化につながりそうなイベントだ。今年4月には渋谷でも開催されていたという。

 今年の9月から10月にホテルニューオータニで行われていた「NAKED NIGHT SAUNA × HOTEL NEW OTANI」も、テントサウナを利用し空きスペースを活用したイベントだった。こちらの舞台は、ずばり“季節外れのプールサイド”。秋の冷えたプールを水風呂代わりにサウナを楽しむというユニークな試みだった。

 コロナ禍で遠出ができないなか、当時、ホテルでバカンスを楽しむ「ホカンス」と呼ばれる取り組みが注目を集めていた。プロジェクトマッピングを得意とする映像制作会社とニューオータニがタッグを組んで開催された「NAKED NIGHT SAUNA × HOTEL NEW OTANI」はまさにそれだった。

 朝9時から2時間ごとの入れ替え4部制で、プロジェクトマッピングの演出が楽しめる18時からの回は最大4人の利用で4万円。2時間でひとり5000円と考えれば超高級サウナである。“サ飯”もホテル価格。尾崎牛のハンバーガー(5100円)やボロネーゼ(3600円)などが用意されていた。

 とはいえ、さすがはニューオータニといえる非日常体験だった。幻想的なプロジェクションマッピングの光に染まるプールで、火照った身体を冷やすのは得難い体験だ(氷も用意されており、浮かべることができる)。休憩したければふかふかのガウンを着て、プールサイドのデッキチェアで外気浴……。

 思えば、いまはなき「豊島園」(東京・豊島区)も、冬場はプールに魚を放ち、釣り堀として活用していた。秋冬を持て余しているプール施設は少なくないはずで、着替え場やロッカーなどの設備はすでにあるわけだ。こうした場所の活用を「NAKED NIGHT SAUNA × HOTEL NEW OTANI」は提示してくれたと言えるだろう。

 惜しむらくは管轄である千代田保健所の指導により、男女混合での利用がNGだったことである(「メンズデー」「レディースデー」を分けての開催だった)。私も男性4人で利用したわけだが、イベントの趣旨からいえば、カップルが主な利用想定層としたいところ。時期限定のサウナをフックにホテルの宿泊者増も期待できるから、来年以降はそのあたりの課題のクリアに期待したいところだ。(公衆浴場法の関係で難しいのかもしれないが……)

 サウナは仕事をリタイアしたシニア世代に人気の娯楽だったが、かねてよりのブームに加え、コロナ禍で遊びが制限されている若者が参入したことで、より大きなムーブメントになった。疲労回復やストレス解消の効果があり、全世代が気にする「健康」にも繋がる点がエンタメとしても強い。サウナ室や外気浴でのマインドフルネス的な注目もあるため、日帰り温浴施設でのワーケションの利用も増えている。

 多様化を見せるサウナの世界。来年もブームはさらに加速しそうだ。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
マーケティングアナリスト。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、静岡朝日テレビ『とびっきりしずおか!』、ニッポン放送『垣花正あなたとハッピー!』レギュラーコメンテーター。

デイリー新潮編集部

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