本田翼は本当に「演技が下手」なのか 「ラジエーションハウス」続編の酷評と意外な強み

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特徴的な「デジタル」演技 アクションや歌モノ向きという一面も

 本田さんの演技を見ていると、台本に何と書かれているかわかる気がする。ムッとした顔、バカにした顔、傷ついた顔。いずれもステレオタイプでマンガみたいな感情表現というか、表情や演技に助走や余韻がない。ゼロかイチかという感じの「デジタル」的な演技なのだ。実際に「目が笑っていない」「棒読み」など、ロボットのような印象を受ける人は多いと見える。

 助走や余韻がないから、演技の間がもたない。でも、だからこそ、アクションや歌など、演技以外にやるべきことがあると彼女の良さが引き立つのである。アクションの賞を受賞した「絶対零度」の、戦うドS刑事役が典型だ。また最近のCMでは、「LINEモバイル」しかり「ZOZOTOWN」しかり、歌モノの演出が目立つ。彼女にとってチャーミングさが最大の武器なのだということがよくわかる

 一方で、普通のラブコメだと苦戦する。年初に放映された「アプリで恋する20の条件」や夏ドラマ「嘘から始まる恋」の視聴率は振るわなかった。心の揺れや悩みを抱えるラブストーリーでは、白黒はっきりしたデジタル演技はどうしても浮いてしまうのだろう。しかしそれもまた、彼女のマジメさの証だと思うのである。

バラエティでも演技をしているマジメさ 声優としては活躍の兆しも!?

 MCを務める「中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん」では、女優でもモデルでもない彼女の姿が垣間見られる。笑ったり驚いたり、ときに共演者に突っ込んだり。でも口角が上がっていても目が笑っていなかったり、やたらまばたきしたりと、常に緊張が伝わってくるのである。こういう時はこういう態度がお約束ですよね?という、ひとつの正解をなぞることに集中しているのだろう。話を聞き返したり聞き流したり、バラエティー対応やアドリブ力には不安があった時代を思えば格段の進歩だし、彼女の努力のあとがうかがえる。でもやっぱりデジタル的な「演技」に見えるのは否めない。ゼロでないならイチ、イチじゃないならゼロ。ひとつの答えしか出し入れできない、本当に不器用でマジメな人なのだ。

 ドラマでもバラエティーでも、ひとつの正解にこだわる彼女が見えてしまうからこそ、視聴者が今一つ入り込めない。でも表情が見えなければ、そこまで気にならないともいえる。「天気の子」で声優として参加した時は、さほど違和感がなかった。新海誠監督は当初の予定から最も遠く離れた演技だったと言いつつも、良い意外性が生まれたと褒めていた。

「ラジハ」の窪田さんや演出家からも、芝居が格段に上手くなったと絶賛された本田さん。不器用でマジメだから苦労するが、アクションや歌、声優といったフィールドでは着々と高評価を得ている。本人は「根暗」と自己評価しているので難しいかもしれないが、意外とミュージカルなど、大振りな演技で花開くこともあるかもしれない。これからはひとつの正解にこだわらず、自身の良さを活かせるフィールドで、名前通りに翼を広げて大きく羽ばたいていってほしいなと願うばかりだ。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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