ヤクルトとオリックスが激突…セ・リーグが9年ぶりに日本一になれるのか?

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 11月10日に開幕したクライマックス・シリーズのファイナルステージは、セ・リーグ覇者のヤクルト、パ・リーグ覇者のオリックスがともに2勝1分で突破し、日本シリーズ進出を決めた。両リーグ揃って前年最下位のチームが、日本シリーズに出場することは史上初である。

絶対的エース・山本由伸の存在

 過去10年の日本シリーズを振り返ってみると、2012年の巨人を除いてパ・リーグが圧倒しているが、今年も両チームの戦力を考えると、やはりオリックスが優勢だ。

 その最大の要因は、絶対的エース・山本由伸である。開幕直後は少し調子が上がらない時期があったものの、5月28日のヤクルト戦からシーズン終了まで怒涛の15連勝を記録。投球回、勝利数、勝率、防御率、奪三振数などありとあらゆる指標で両リーグトップの成績をマークしている。

 特に防御率1.39、WHIP(投球回あたりの被安打数と与四球率の合計)0.85、206奪三振という成績は2位に大差をつける圧倒的なもので、13年に24勝0敗をマークした田中将大(楽天)の成績(防御率1.27、WHIP 0.94、183奪三振)に匹敵する数字となっている。

 山本は、ロッテとのファイナルステージの初戦でも被安打4、10奪三振で無四球完封勝利をあげたが、1回にオリックスが先制した時点で勝ちを確信したオリックスファンも多かったはずだ。何かアクシデントなどがなければ、最低でも山本が日本シリーズで2試合に先発することになり、高い確率でチームを勝利に導くことが期待できる。日本一に必要な4勝のうち2勝が計算できることは、とてつもなく大きなアドバンテージと言えるだろう。

 山本以外にもオリックスには、宮城大弥や田嶋大樹、山崎福也と安定した先発投手が揃っている。宮城は9月に少し調子を落としたが、10月には復調の兆しを見せており、田嶋もファイナルステージで第2戦の先発を任せられると、6回無失点という見事な投球で、チームを勝利に導いた。

得点力はヤクルトに分

 一方のヤクルトは、高校卒2年目で9勝を挙げた奥川恭伸の成長が大きなプラス材料。だが、それに続く先発は手薄な感は否めない。ベテランの石川雅規、小川泰弘がシーズン終盤に調子を落としていることも不安材料だ。奥川がファイナルステージの初戦で見せたような投球を再現して、山本と互角に投げ合ったとしても、やはりオリックスの方が優勢と言わざるを得ないだろう。

 打撃では、得点、チーム打率、本塁打、盗塁といったあらゆる成績で、ヤクルトがオリックスを上回っている。個別の選手を見ても、中軸は両チームとも大きな差はない印象だが、それ以外にも塩見泰隆、サンタナ、オスナと長打がある選手を多く揃えており、得点力に関してはヤクルトに分があるという見方ができそうだ。

 ただし、肝心なポイントゲッターが心配だ。山田哲人と村上宗隆の状態だ。9月まではともに順調にホームラン数を伸ばしていたが、10月以降は山田が2本塁打、村上が1本塁打と失速。巨人とのファイナルステージ3試合での成績は、山田が1安打、村上が2安打1打点で、ホームランやタイムリーは1本も出ていない。さらに、交流戦でのオリックスとの対戦成績を見ても、3試合とデータは少ないものの山田は打率.182、村上も打率.100と結果を残すことができていない。

 オリックスは骨折から復帰した吉田正尚の状態が心配されていたが、ロッテとのファイナルステージでもしっかり結果を残した。また、4番の杉本裕太郎も厳しいマークの中で第2戦では試合を決めるツーランを放つなど、レギュラーシーズンの状態を維持している。

 交流戦でのヤクルトとの対戦成績は、吉田と杉本が揃って3割を超える打率をマークしている。日本シリーズに入れば、また状態が変わる可能性があるとはいえ、直近の調子と相性を見る限りでは、打撃面でもヤクルトの大きなアドバンテージがあるとは言い難い状況といえる。

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