視聴率戦争 テレ朝好調で「日テレ」の勢いに翳り…社長交代が大きく影響したか

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スター制作者の退陣

 最大の理由はプロパーの小杉善信氏(67)を日テレと日テレHD社長から退陣させ、どちらも副会長にしたことにほかならない。こんな人事はプロパーがモチベーションをなくす。まして小杉氏は「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」などを次々と当てたスター制作者だったのだ。

 後任社長に就いたのは読売新聞出身の杉山美邦氏(67)。テレビの経験なんてない。会長はやはり読売から来た大久保好男氏(71)である。そうでなくても日テレは読売に対して不満が溜まっているにもかかわらず、会長ポストも社長ポストも取ってはしまうとは、やりすぎではないか。

 杉山氏について日テレは早い時期から「社長になるかもしれないから」と、リサーチしていた。日テレ幹部たちは常に読売側の動向を気にしているのだ。

 トップが日本経済新聞出身のテレビ東京を除くと、民放に落下傘社長はいない。日テレにはプロパーの人材が十分いる。にもかかわらず、読売は資本の論理からトップを出す。

コア視聴率には自信あり?

 日テレでジリジリと視聴率を落としている番組は「今夜くらべてみました」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」。大当たりするドラマに恵まれないのも痛い。

 また、日テレは今年10月から、コア視聴率(13~49歳)の広報に踏み切った。なぜか? フジ幹部に理由を読み解いてもらった。

「個人全体の視聴率が取りにくくなっている一方、コア視聴率には自信があるから」(フジ幹部)

 世帯視聴率中心だったテレビ界を個人全体視聴率に変えたのは日テレだが、今度はコア視聴率中心の方向に導こうとしているのだろうか。

 一方、テレ朝の業績だが、視聴率の伸びを背景に好調だ。今年9月のタイム(番組のCM)は前年比106.4%、スポット(番組と番組の間のCM)は126.1%。トータルは116.0%。儲かっている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮取材班編集

2021年11月7日掲載

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