「日本沈没」で思い出す27年前のベストセラー 未来推進会議の出席者はなぜ12人なのか

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支配階級のダメなところ

 ところが東山の返答は……。

「いまはまだ危機対策の対応も整っていない!」(東山)

 じゃあ、いつやるのだ? 沈没しちゃった後に対応が整っても仕方がないのだが。

 その後、東山はやっと意を決したと思ったら、こんな言葉を口にする。

「遅くとも2カ月以内に情報を開示できる体制を作り上げます」(東山)

 そんな悠長なことを言っていたら、死ななくても済む人を死なせてしまう。ウォルフレン氏の分析の通り、責任を取りたくないのだろう。

 日本のエスタブリッシュメント(支配階級)のダメなところを、ここまでリアルにたっぷり描くドラマも珍しい。

 結局、救世主になれる人物は天海以外にいない。漁師だった亡父・天海衛(吉田鋼太郎、62)の教えもあって、弱い人の立場になろうとしている。

「天海」の名にこめられた意図

 現在の天海の考え方は第2話で明かされた。記者の実梨から「あなたは何と戦ってるんですか?」と問われると、こう答えた。

「戦っているつもりなんてないよ。ただ、この国は建前ばかりで、本気でやろうとしている人間なんて、ほとんどいない。正しいことをやろうとすると、障害が多すぎる。だから、今の俺の立場では多少強引な手を使わないとダメなんだよ」(天海)

 永田町も霞ヶ関も建前の人間ばかりだから、本気で正しいことをやろうとしている天海は臨戦態勢に映るようだ。

 天海は名前も救世主になることをあらかじめ示している。「天海啓示」。空と海から、人間に対して、人の力では到底知ることの出来ないような事を表し示す、という意味である。凄い名前だ。

 天海と一緒に日本を救うのは未来推進会議に違いない。メンバーは次の通りだ。

 環境省・天海啓示(小栗旬)、経産省・常盤紘一(松山ケンイチ)、厚労省・石塚平良(ウエンツ瑛士、36)、外務省・相原美鈴(中村アン、34)、国交省・正岡春樹(諏訪雅、45)、財務省・織辺智(浜田学、45)、法務省・北川亜希(河井青葉、39)、文科省・財津文明(六角慎司、49)、総務省・大友麟太郎(山岸門人、39)、防衛省・仙谷治郎(竹井亮介、49)、農水相・白瀬綾(高野ゆらこ、40)。

 必ず会議に同席する長沼周也・官房長官(杉本哲太、56)を加えると、12人である。

 あえて12人にしたのではないか。米名作映画「十二人の怒れる男」(1957年)のオマージュとするために。

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