「紗栄子」が広告塔を務めた桃農園詐欺 被害総額133億円「西山ファーム」の手口

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新旧のスキーム

 弁護士は続ける。

「一人当たりの被害額は、だいたい百数十万円から2千万円。平均すると600万円ほどでしょうか。加藤氏のスキームは新旧二つ。まず、旧スキームについてですが、農園の果物をクレジットカードで購入すると、代金の引き落とし直前に、払い込み額に1.5~3%上乗せされて返ってくる。実際に果物が届くことはなかったといいます」

 たとえば100万円払い込むと、ジッとしていれば約103万円になる。これが数年前にはじまり、今年には新スキームがスタート。

「払い込むのは旧スキームと同じですが、お金は上乗せされず、払い込んだ額がそのまま戻る。クレジットカードのポイントやマイルがたまるので、被害者は乗せられたようです」

 たしかに、一見すると気軽に儲けられそうではある。

「なので、知人が知人を誘うマルチ商法的に広がったのです。ただし、西山ファーム側からの支払いが滞った。それでクレジットカードの支払いが間に合わなくなり、自己破産した方もいます。今年に入ってから和解書をばら撒いているようです」

 加藤氏を詐欺罪に問えるかは微妙だというが、

「売り上げはまちがいなく架空のもの。この売り上げをもとに銀行から融資を受けていれば、粉飾決算の可能性はあるでしょう。いまは“詐欺的行為”の実態を調査している段階です」

 もともと西山ファームを経営していた男性が、こう吐き棄てる。

「加藤は、半年ほど前に離婚した妻の連れ子。だから、血のつながっていない息子です。本当に大迷惑しとるんよ。あいつは名古屋で宝石を売ったりしてブラブラしとった。3年前に農園の仕事をやらせてみたら、いらんことしよってからに」

 当の加藤氏に話を聞いた。

「私は詐欺的な行為など行っていません。新旧のスキームの顧客は1500人ほどいますが、現在、ほとんどの方と和解しています。西山ファームに迷惑をかけたことについては、責任を感じています」

 そんな男と農園との関係を、紗栄子の所属事務所は、

「仕事として西山ファームの広告に携わっていたのは事実です。ご理解いただきたいのは、西山ファームが詐欺的な行為をしていることを、我々はまったく知らなかったということ。知っていたら仕事をお受けすることはありませんでした」

 場合によっては、加藤氏が刑事責任を問われかねない事案である。そうなったとき、人気モデルが払う代償は計り知れない。

週刊新潮 2019年5月23日号掲載

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