関西スーパーを買収提案のOKストア 強引な手法にOK株主でさえ「創業理念と違う」

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正直な説明で積み上げた信頼関係

 そんなオーケーの店舗の特徴は「オネスト(正直)カード」。例えばいちごの商品棚には「最盛期に比べると甘味が薄くおいしくありません。コンデンスミルクか、ジャムなどをかけてお召し上がりくださいませ」と表示し、なすの商品棚には「天候の影響により各産地で生育不足、品質不良となっております。回復まで出来れば購入を見合わせてください」と、実情を正直に説明するのだ。

 安くないのに「大安売り」「特売」と謳う食品スーパーが珍しくない中、正直に説明をすることで顧客(株主)との信頼関係を積み上げ、売上を伸ばしてきたのがオーケースタイル。2021年3月期(売上高5082億円)にかけて34期連続増収という驚異的な実績の要因は、そうした姿勢が株主から支持されてきたことが大きい。

 だが、それだけに今回の買収提案は株主の間で物議を醸している。別の株主はこう怒りをぶちまける。

「オーケー経営陣の言動を見ていると、本当に自社株主のことを考えているのかわからなくなりました。自分たちの期待通りに動いてくれない関西スーパーにしびれをきらし、感情的な買収攻勢に走っているのが透けて見えるからです。現に、今回の買収提案はほとんど飯田会長と二宮涼太郎社長だけで決め、他の役員は蚊帳の外に置かれていると聞きます。買収に失敗してオーケーの株価が下がれば、その被害を受けるのは株主ですよ。みんなで良い会社に育てようなどと耳心地の良いことを言いながら、結局はトップの独断によって株主や従業員が翻弄されているじゃないですか」

 また、関西スーパー関係者はこんな話を明かす。

「オーケーの二宮社長はメディアのインタビューに、『関西スーパーのブランドは変えない』と話していますが、とんでもない。当初オーケー側は『買収したら関西スーパーの看板は下ろしてもらう』という趣旨のことをはっきり言っていました。表で言っていることと裏でやっていることが違いすぎますよ」。

 運命の10月29日まで1ヵ月以上ある。関西スーパーのみならずオーケーの経営陣も、株主、顧客、取引先、社員らが納得のいく説明をした方がよいのではないか。

デイリー新潮取材班

2021年9月24日掲載

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