石破茂「古いシステムは見直さなければならない」 「東京は豊かさ最下位」という衝撃データを受けて

石破茂 異論正論 国内 政治 2021年09月08日

  • ブックマーク

東京の家庭は日本一豊かか 石破茂の異論正論(14)

「心の豊かさ」「人情」「魚の旨さ」等々、それぞれの人が故郷について何らかの分野で「日本一だ」と思っていることだろう。しかし一方で「経済的豊かさ」でいえば東京が日本一、と思っている方がほどんどではないだろうか。

 しかし、石破茂元自民党幹事長は、あるデータを示しながらその「常識」に異を唱える。ポスト菅の政権における政策面でのキーマンとも目される石破氏は何に着目しているのか。そこから話は、国家のグランドデザインを見直す必要性にも発展していく――

 石破茂の異論正論、第14回である。

 前回、少子高齢化や経済など大きな問題についての議論が進まないまま時が過ぎてしまっていることに触れました。

 たとえば日本の1人当たりGDPはG7で最下位であり、それを改善する見通しも立っていないとご説明しました。一人一人の収入が増えなければ経済が伸びるはずがありません。

 たとえばこのために税制を見直すという視点を前回は述べました。企業の利益がより従業員に還元されるような仕組み作りが必要だ、ということです。

 関連して、今回は国民の豊かさについての興味深いデータから話を始めてみましょう。

 47都道府県の中でもっとも経済的に豊かなのはどこだと思われるでしょうか。おそらく多くの方は「東京」と思っていらっしゃるのではないでしょうか。

 これは統計によっては正解で、厚生労働省の発表している「賃金構造基本統計調査」では都道府県別賃金の1位は東京で373万円となっています(令和2年版)。そのあとに神奈川、大阪、愛知と続きます。これだけを見れば「やっぱり東京は豊かなんだな」と思われても無理はありません。

 しかし、別のデータからはまったく異なる現実が見えてきます。

 国土交通省国土政策局が発表している「都道府県別の経済的豊かさ(可処分所得と基礎支出)」という資料があります。

 これによると、可処分所得の順位は全世帯平均で見た場合、東京は3位で1位は富山県、2位は福井県です。

 それでもまだ東京は上位ですから、意外性はないかもしれません。

 しかしこの資料では可処分所得の「中央世帯順位」も示しています。平均にするとどうしても富裕層が多いところの平均は上がってしまうし、貧困層の多いところは下がってしまいます。それぞれの都道府県での平均的な世帯の可処分所得を比べてみよう、ということで、可処分所得の上位40%~60%の世帯の平均を出して比較したのがこの順位です。

 この順位を上から見ると、富山、三重、山形、茨城、福井、愛知、神奈川、埼玉、京都、新潟がベスト10。岐阜が続き、東京はようやく12位にランクインします。つまり富裕層や貧困層を除いた「平均的な世帯」の可処分所得を比べると、東京は決して上位ではないことになります。

次ページ:東京が最下位に

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]