問題山積のデジタル庁がついに発足 菅首相の関心は急激に低下

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「米国の研究界からは追放されているのに」

 政府による民間の人材の見極めについては、「大丈夫なのか?」と疑問視されるようなドタバタも起きた。

 デジタル庁の事務方トップとなる「デジタル監」人事で、首相官邸は8月上旬、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボ元所長の伊藤穰一氏を起用する方向で調整に入った。しかし、伊藤氏はメディアラボ所長時代に、少女売春で訴追され、拘留中に自殺した富豪ジェフリー・エプスタイン氏から研究資金の供与を受け、その隠蔽を主導したことが発覚し、同所長の座を追われています。起用報道を聞いた在米IT専門家は、「伊藤さんは、米国の研究界からは事実上、追放されているのに、日本のデジタル庁の高官にして良いんだろうか」と、首をかしげていた。

「身辺調査をするまでもなく、インターネットを検索すれば、こうした“過去”は簡単に確認できるはず。官邸はそれを怠ったのか、あるいは米国でのスキャンダルなど気にしないのか、いずれにせよずさんな人事に驚きました」(前出大手新聞デスク)

 曲折を経て、デジタル監には、経営学者の石倉洋子氏(72)が起用された。石倉氏は、日本人女性として初めて米ハーバード大院で経営学博士号を取得し、戦略コンサルティングや大学で活躍しており、60代になってからプログラミングも学んだ。IT企業幹部からは、「政府のデジタル基盤を設計していく上で、最先端のデジタルの知見をお持ちでないのは不安」といった批判もあるが、経営、組織運営の専門家として多くの企業の経営危機などに助言した実績は豊富だ。

 デジタル庁は総務省、経済産業省、厚生労働省、財務省など多数の省庁の政策も関わるだけに、主導権争いや面倒な政策案件の押し付け合いも、すでに起きている。

「コロナ禍の克服、今後の経済成長にはデジタル化推進が不可欠です。石倉さんが柔軟に霞ヶ関の縄張り争いを乗り越え、政策に横串を通してくれることを期待していますが……」(経済官庁幹部)

デイリー新潮取材班

2021年9月2日掲載

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